からだの話と日常 | 検査の読み方・詳細解説

血液ガスの読み方を
詳しく解説

pH・PaCO₂・HCO₃⁻から、代償・アニオンギャップ・酸素化まで

作成日:2026年10月18日 | 基本から医療者向けの解釈まで | 6つの架空症例で学ぶ

01 酸塩基平衡

pHとその理由

一次性障害と代償を分けて読む

02 換気

CO₂を出せるか

病態に対して妥当な値を考える

03 酸素化・供給

酸素が届くか

FiO₂・Hb・循環も合わせて見る

目次を開く
  1. 1.血液ガスでは何が分かる?
  2. 2.最初に押さえる基準値と用語
  3. 3.pHを決めるのは、HCO₃⁻とCO₂の関係
  4. 4.血液ガスを読む基本の順番
  5. 5.一次性障害は4種類
  6. 6.代償式で「もう1つの異常」を探す
  7. 7.アニオンギャップ(AG)で隠れた異常を探す
  8. 8.ΔAGとHCO₃⁻から、重なった代謝性障害を考える
  9. 9.酸素化はPaO₂だけで判断しない
  10. 10.PaCO₂は「呼吸数」より「肺胞換気」を反映する
  11. 11.PaO₂・SaO₂・SpO₂・酸素含量は別の値
  12. 12.静脈血ガスは、どこまで使える?
  13. 13.乳酸高値は「低酸素」の同義語ではない
  14. 14.症例で練習する:6つの読み方
  15. 15.採血・測定の落とし穴
  16. 16.医療者向けの補足:尿ClとStewart法
  17. 17.受診を急いだ方がよい症状
  18. 18.姫路市で息切れ・むくみ・検査結果が気になる方へ
  19. よくある質問

血液ガスを読むときに大切なのは、「基準値を外れている項目を探す」ことに加えて、「その患者さんの状態なら、他の値はどこまで変わっているはずか」を考えることです。

pHが正常でも、酸性に傾ける病態とアルカリ性に傾ける病態が重なっていることがあります。PaCO₂が40 mmHgでも、重い代謝性アシドーシスの患者さんには高すぎる場合があります。SpO₂が良くても、二酸化炭素の排出や全身への酸素供給が十分とは限りません。

この記事では、前半で検査の基本を、後半で医療者向けの代償式・混合性障害・症例の読み方を説明します。数値は成人の代表的な目安です。実際には施設の基準値、採血条件、症状、経時変化を合わせて判断します。1, 2

1.血液ガスでは何が分かる?

血液ガスでは、大きく3つを評価します。

評価すること主に見る値何を知りたいか
酸塩基平衡pH、PaCO₂、HCO₃⁻、BE血液の酸性・アルカリ性の調節に異常がないか
換気PaCO₂体内で生じるCO₂に対して、肺からの排出が足りているか
酸素化PaO₂、SaO₂、FiO₂吸い込んだ酸素が、動脈血にどれくらい取り込まれているか

換気と酸素化は別の機能です。 酸素を投与してSpO₂が改善しても、呼吸が浅く、CO₂が蓄積していることがあります。また、PaO₂が保たれていても、貧血や低心拍出量があれば、臓器へ届く酸素量は減ります。血液ガスは、この違いを整理する検査です。1

2.最初に押さえる基準値と用語

成人の動脈血ガスの代表的な目安

項目代表的な目安読むときの注意
pH7.35〜7.45現在の血液の酸性・アルカリ性を表す
PaCO₂35〜45 mmHgCO₂の産生と肺胞換気の釣り合いを反映
HCO₃⁻22〜26 mmol/L重炭酸イオン。一次性変化と代償性変化の両方がある
BEおおむね−2〜+2 mmol/L機器・施設によって±3などの範囲もある
PaO₂若い成人・海面付近・室内気でおおむね80〜100 mmHg年齢、酸素濃度、標高、体位などで変わる
乳酸施設上限はおおむね2 mmol/L前後検体・施設基準を確認し、変化と背景を読む

HCO₃⁻やNa⁺、Cl⁻のような1価のイオンは、mmol/LとmEq/Lで数値が同じです。血液ガスの用紙にkPaでガス分圧が表示される場合は、1 kPa≒7.5 mmHgです。基準範囲と治療目標は同じではありません。1, 3, 10, 15

アシデミアとアシドーシスは区別する

  • アシデミア:測定時のpHが7.35未満という「結果」。
  • アルカレミア:測定時のpHが7.45を超えるという「結果」。
  • アシドーシス:pHを下げる方向に働く「病態」。
  • アルカローシス:pHを上げる方向に働く「病態」。

例えば、乳酸が増えて酸性に傾ける病態があっても、別の原因による過換気が重なれば、pHが正常域になることがあります。逆に、慢性の呼吸性異常で代償が進み、pHが基準範囲に入る例もあります。「pH正常なら異常なし」「pH正常なら必ず混合性障害」のどちらも正しくありません。2, 4

3.pHを決めるのは、HCO₃⁻とCO₂の関係

体内では次の反応が起きています。

CO₂ + H₂O ⇄ H₂CO₃ ⇄ H⁺ + HCO₃⁻

CO₂が蓄積すると、pHを下げる方向に働きます。HCO₃⁻が減少しても、pHを下げる方向に働きます。この関係を表したのが、Henderson–Hasselbalch式です。

pH = 6.1 + log₁₀[HCO₃⁻ ÷(0.03 × PaCO₂)]

HCO₃⁻:mmol/L、PaCO₂:mmHg。37℃付近での代表的な近似式です。

HCO₃⁻=24、PaCO₂=40を入れると、分数は24÷1.2=20で、pHは約7.40になります。HCO₃⁻とPaCO₂が両方半分になっても、比は同じなのでpHは約7.40です。しかし、病態が正常とは限りません。3

HCO₃⁻は、多くの血液ガス装置では計算値

通常、pH・PCO₂・PO₂は測定され、HCO₃⁻はpHとPCO₂から計算されます。一般生化学のtotal CO₂は別の測定値で、その大部分をHCO₃⁻が占めます。大きく食い違う場合は、採血時刻、検体、測定系、取り扱いを確認します。

同じ血液ガスの3値を式に入れて一致しても、それだけで「採血に問題がなかった」とは証明できません。計算HCO₃⁻は、もともと同じ式から求められているためです。1, 3

BEは何を意味する?

BE(base excess)は、標準化した条件での塩基の過不足を表す計算指標です。負なら代謝性に酸性へ、正ならアルカリ性へ傾ける要素を考えます。ただし、慢性呼吸性異常に対する腎性代償も反映されます。BEが−10だから、直ちに一定量の重炭酸を投与する、という読み方はしません。 原因や換気、電解質、体液状態の評価が必要です。7

4.血液ガスを読む基本の順番

順番確認すること判断する内容
0患者さんと採血条件意識・呼吸・循環、動脈か静脈か、酸素条件、検体の妥当性
1pHアシデミア、アルカレミア、基準範囲内のいずれか
2PaCO₂とHCO₃⁻pHの方向を説明する一次性変化は何か
3予測される代償1つの障害で説明できるか、別の障害が重なっているか
4AGとアルブミン補正未測定陰イオンの増加が隠れていないか
5必要時にΔAGとHCO₃⁻の変化追加の代謝性障害や、もともとのHCO₃⁻異常はないか
6PaO₂、FiO₂、SpO₂酸素化はどうか。必要ならP/F比やA–aDO₂を計算
7乳酸・Hb・臨床経過原因、重症度、治療への反応を統合する

これは、読み落としを減らすための整理順です。実際に重い呼吸困難やショックがある場面では、呼吸・循環の評価と対応を先に進め、計算が終わるのを待ちません。AGも、pHが低いときだけでなく、必要な電解質が得られていれば確認する習慣が役立ちます。1, 2, 7

5.一次性障害は4種類

障害一次性の変化単独ならpHは代償として起こる方向代表的な背景
代謝性アシドーシスHCO₃⁻低下低下PaCO₂低下乳酸・ケトンの増加、腎障害、下痢など
代謝性アルカローシスHCO₃⁻上昇上昇PaCO₂上昇嘔吐、利尿薬、Cl・K欠乏など
呼吸性アシドーシスPaCO₂上昇低下HCO₃⁻上昇COPD、呼吸抑制、神経筋疾患、肥満低換気など
呼吸性アルカローシスPaCO₂低下上昇HCO₃⁻低下低酸素、肺塞栓、敗血症、痛み、不安など

HCO₃⁻が低いという理由だけでは、代謝性アシドーシスとは決められません。 呼吸性アルカローシスが続いた結果、HCO₃⁻が低下している可能性もあります。PaCO₂低値も、心理的な過換気と決めつけず、低酸素や代謝性アシドーシスへの反応などを検討します。2, 3, 7

6.代償式で「もう1つの異常」を探す

代償とは、pHの変化を小さくする反応です。呼吸による調節は比較的速く、呼吸性異常に対する腎臓の調節が十分に進むには数日かかります。急性の呼吸性変化では、まず血液や組織の緩衝反応が働きます。3, 4

よく使う予測の目安

基点はPaCO₂=40 mmHg、HCO₃⁻=24 mmol/Lとします。

一次性障害代表的な予測
代謝性アシドーシス予測PaCO₂=1.5×HCO₃⁻+8 ±2 mmHg(Winter式)
代謝性アルカローシスHCO₃⁻が1上がるごとに、PaCO₂が約0.5〜0.7 mmHg上がる
急性呼吸性アシドーシスPaCO₂が10上がるごとに、HCO₃⁻が約1上がる
慢性呼吸性アシドーシスPaCO₂が10上がるごとに、HCO₃⁻が約3.5〜4上がる
急性呼吸性アルカローシスPaCO₂が10下がるごとに、HCO₃⁻が約2下がる
慢性呼吸性アルカローシスPaCO₂が10下がるごとに、HCO₃⁻が約4〜5下がる

代謝性アルカローシスなら、予測PaCO₂ ≈ 40+0.6×(HCO₃⁻−24)が代表式の1つです。係数や許容幅は文献に差があります。Winter式以外を、すべて機械的に±2の範囲で判定してはいけません。2, 3

Winter式の具体例

HCO₃⁻=12なら、予測PaCO₂は1.5×12+8=26、つまり24〜28 mmHgです。

実測PaCO₂解釈
26 mmHg代謝性アシドーシスに対する呼吸性代償として、おおむね整合
40 mmHg予測より高い。換気代償不足・呼吸性アシドーシスの合併を疑う
18 mmHg予測より低い。呼吸性アルカローシスの合併を疑う

ここが重要です。PaCO₂=40は一般的な基準範囲内ですが、この患者さんには高すぎます。 「正常値かどうか」に加え、「病態に対して妥当か」を見ます。

代償式にも限界がある

予測式は経験的な近似です。腎機能、発症からの時間、利尿薬、換気状態、もともとの値でずれます。慢性呼吸性アシドーシスの前向き研究では、安定した選択患者のPaCO₂約40〜70 mmHgの範囲で、HCO₃⁻の増加が10 mmHg当たり約4.8という結果もあります。表の数値を少し外れただけで、混合性障害を断定しません。4

また、代償式は、そのまま治療目標になる式ではありません。 重い代謝性アシドーシスでPaCO₂を機械的に40へ戻せば、代償を失ってpHがさらに下がり得ます。発症直後、呼吸筋疲労、挿管前後などでは、検査値だけでなく呼吸仕事量と経過を重視します。7

7.アニオンギャップ(AG)で隠れた異常を探す

AGは「測っていない陰イオン」の増加を考える手掛かり

血液中では、陽イオンと陰イオンの電荷は釣り合っています。ただし、一般的な検査ですべてのイオンを測っているわけではありません。

AG = Na⁺ −(Cl⁻ + HCO₃⁻)

ここではK⁺を含めない式を使います。Na=140、Cl=104、HCO₃⁻=24なら、AG=12です。AGは電荷が本当に欠けているという意味ではなく、測定していない陰イオンと陽イオンの差を反映します。

正常AGは一律12ではありません。 測定機器、Kを含むかどうか、本人の基礎値などで異なります。施設の基準値を優先し、以下の症例では説明用に基準AG=12と仮定します。可能な限り同時点・同じ測定系のNa、Cl、HCO₃⁻またはtotal CO₂を使います。3, 6

低アルブミンではAG上昇が隠れる

アルブミンは、AGを構成する主要な未測定陰イオンです。低アルブミン血症では、補正前AGが低くなります。代表的な補正式は次のとおりです。

補正AG = AG + 2.5×(4.0 − Alb)

Albはg/dLで入力します。g/Lを使う式とは係数が異なります。

例えば、AG=12、Alb=2.0 g/dLなら、補正AG=12+2.5×2=17です。「AGは12だから問題なし」とすると、異常を見落とす可能性があります。補正は手掛かりであり、乳酸やケトンを疑う場合の直接測定に代わるものではありません。5, 7

AGが高い代謝性アシドーシスの主な原因

原因の群具体例・追加確認
乳酸の増加循環不全、けいれん、薬剤、肝での処理低下など。乳酸を直接確認
ケトン体の増加糖尿病、アルコール関連、飢餓など。血中βヒドロキシ酪酸、血糖、服薬歴
腎臓からの酸排泄低下腎機能、尿量、病歴を確認。腎障害ではAG正常型も起こる
薬物・毒物などサリチル酸、メタノール、エチレングリコールなど。曝露歴を重視

SGLT2阻害薬の使用中などでは、著明な高血糖がなくてもケトアシドーシスが起こり得ます。 また、尿ケトンだけでは主成分のβヒドロキシ酪酸を十分に評価できないため、疑う状況では血中測定が役立ちます。17

AGが正常の代謝性アシドーシスもある

下痢によるHCO₃⁻喪失、尿細管性アシドーシス、アセタゾラミド、Cl負荷の多い輸液などでは、HCO₃⁻の低下に対してClが相対的に増え、AGがあまり上昇しないことがあります。これをAG正常型・高クロール性代謝性アシドーシスと呼びます。

「AGが正常」は「アシドーシスがない」という意味ではありません。また、Clの絶対値だけで判断せず、Naとの関係や輸液前後の変化を読みます。3, 7

8.ΔAGとHCO₃⁻から、重なった代謝性障害を考える

AGが上がっている場合、次に「AGが増えた程度」と「HCO₃⁻が減った程度」を比べます。基準AG=12、基準HCO₃⁻=24と仮定すると、

ΔAG = 補正AG − 12

ΔHCO₃⁻ = 24 − HCO₃⁻

Δ比 = ΔAG ÷ ΔHCO₃⁻

例えば、補正AG=28、HCO₃⁻=12なら、Δ比=16÷12≒1.33です。

Δ比の見え方追加で考えること
小さい:HCO₃⁻がAG上昇以上に低下AG正常型アシドーシスの合併など
おおむね1〜2AG上昇型アシドーシスを中心とする病態と整合しやすい
大きい:AG上昇の割にHCO₃⁻が高い代謝性アルカローシスや、慢性呼吸性アシドーシスに伴う既存のHCO₃⁻上昇など

これは診断を確定する表ではありません。基礎値、酸陰イオンの分布・尿中排泄、輸液、治療経過、呼吸性障害の腎性代償でも変わります。8

HCO₃⁻が24付近なら、Δ比を無理に使わない

分母が小さいと比は不安定になり、HCO₃⁻=24ならゼロで割ることになります。その場合は、

補正HCO₃⁻の目安 = HCO₃⁻ + ΔAG

という形で、HCO₃⁻が本来高い病態を隠していないか考えます。これは新たな実測値でも「治療後の予測値」でもありません。病歴と合わせて追加病態を探すための計算です。3, 8

9.酸素化はPaO₂だけで判断しない

必ずFiO₂とセットで読む

FiO₂は吸入酸素濃度です。室内気は約0.21、酸素50%なら0.50と書きます。

同じPaO₂=80 mmHgでも、室内気で保たれている場合と、50%酸素でようやく80の場合は意味が異なります。酸素を多く必要としているほど、肺でのガス交換障害を考えます。鼻カニュラなどの低流量酸素では、流量だけからFiO₂を正確には決められず、吸気流量や呼吸パターンなどの影響を受けます。10

P/F比:PaO₂をFiO₂で割る

P/F比 = PaO₂ ÷ FiO₂

PaO₂=80、FiO₂=0.50なら、P/F比=160です。FiO₂を「50」と入力してはいけません。

ARDSの挿管患者では、PEEPなどの条件を満たした上で、P/F比が200超〜300以下、100超〜200以下、100以下という重症度区分が用いられます。ただし、P/F比が低いだけではARDSと診断できません。 発症時期、画像所見、肺水腫の原因、呼吸補助条件なども必要です。2024年のGlobal Definitionでは非挿管例も扱われており、挿管患者の分類を全例へ一律に当てはめません。11

A–aDO₂:肺胞と動脈血の酸素分圧差

肺胞内の酸素分圧をPAO₂、動脈血をPaO₂と表します。

A–aDO₂ = PAO₂ − PaO₂

PAO₂ ≈ FiO₂×(大気圧−47)−PaCO₂÷0.8

海面付近・室内気・呼吸商0.8の仮定では、

PAO₂ ≈ 150 − 1.25×PaCO₂

例えばPaCO₂=40、PaO₂=55なら、PAO₂≒100、A–aDO₂≒45 mmHgです。動脈血へ酸素が届くまでの差が大きいことを示します。10, 23

低酸素血症のとき考える主な機序
A–aDO₂が年齢などに見合う範囲肺胞低換気、吸入酸素分圧の低下など
A–aDO₂が開大換気血流比の不均等、拡散障害、右左シャントなど

室内気での基準上限の粗い目安として「年齢÷4+4 mmHg」が使われますが、厳密な正常判定式ではありません。高FiO₂、標高、呼吸商の違いなどで評価は変わります。なお、正常A–aDO₂でも肺塞栓を除外できません。10, 21

10.PaCO₂は「呼吸数」より「肺胞換気」を反映する

呼吸数が多ければCO₂を十分に排出できる、とは限りません。CO₂産生が一定なら、PaCO₂は肺胞換気量とおおむね反比例します。肺胞換気量は、

肺胞換気量 = 呼吸数 ×(1回換気量 − 死腔量)

と考えます。死腔は、空気が出入りしても有効なガス交換に参加しない部分です。

死腔を1回150 mLと固定した単純なモデルでは、1回400 mLを毎分20回なら、肺胞換気量は毎分5 Lです。1回200 mLを毎分40回なら、全体の換気量はどちらも毎分8 Lですが、肺胞換気量は毎分2 Lに下がります。

浅く速い呼吸では、呼吸回数が増えていても換気が不十分になり得ます。 実際の患者さんでは死腔も変動するため、呼吸数、深さ、努力呼吸、意識、PaCO₂の変化を合わせます。24

11.PaO₂・SaO₂・SpO₂・酸素含量は別の値

項目意味
PaO₂血漿に溶けた酸素の分圧
SaO₂動脈血のヘモグロビン酸素飽和度
SpO₂パルスオキシメータで推定した動脈血酸素飽和度
CaO₂動脈血に含まれる酸素の量

酸素の大部分はヘモグロビンが運ぶ

異常ヘモグロビンの影響がない状況で、酸素含量は概算できます。

CaO₂ ≈ 1.34×Hb×SaO₂ + 0.003×PaO₂

CaO₂:mL O₂/dL、Hb:g/dL、SaO₂:0〜1、PaO₂:mmHg。

SaO₂=98%、PaO₂=100なら、Hb=15でCaO₂は約20.0 mL/dL、Hb=8なら約10.8 mL/dLです。飽和度が同じでも、貧血では運べる酸素量が少なくなります。

全身への酸素供給量は、さらに心拍出量に依存します。

DO₂ = 心拍出量 × CaO₂ × 10

心拍出量:L/min、DO₂:mL O₂/min。10はLとdLをそろえる係数です。

CaO₂が20 mL/dLなら、心拍出量5 L/minでDO₂は約1,000 mL/min、2.5 L/minなら約500 mL/minです。これらは計算例であり、輸血や循環作動薬の適応を決める値ではありません。心不全やショックでは、SpO₂だけで全身の酸素供給を評価しないことが重要です。12

一酸化炭素中毒・メトヘモグロビン血症

一酸化炭素中毒では、PaO₂が正常でも、通常のSpO₂が良く見えても、中毒を否定できません。疑う曝露歴があれば、CO-oximetryでCOHbを測定します。13

メトヘモグロビン血症では、通常のSpO₂が85%前後に寄ることがあります。ただし、85%という数値だけで診断することはできず、CO-oximetryでMetHbを確認します。14

血液ガス用紙のSaO₂が、PO₂からの計算値か、CO-oximetryによる測定値かも確認します。異常ヘモグロビンがあると、計算飽和度や通常の酸素含量式をそのまま使えない場合があります。1

12.静脈血ガスは、どこまで使える?

静脈血ガスは、酸塩基平衡の評価に役立ち、DKAなどでは初期評価に用いられます。一方で、肺の酸素化を評価する目的では、静脈PO₂を動脈PaO₂の代わりにしてはいけません。9, 17

項目静脈血での扱い
pH平均的には動脈より少し低い。多くの状況で酸塩基評価に有用
HCO₃⁻比較的よく一致する状況があるが、同一値とは限らない
PCO₂動脈より高い傾向。個人差があり、正確なPaCO₂への固定換算はできない
PO₂動脈の酸素化評価に代用しない

COPD増悪患者の前向き研究では、動静脈pHの平均差は約0.03でしたが、PCO₂の一致幅は広くなりました。「PvCO₂から5を引けばPaCO₂が分かる」という換算は不適切です。 正確なPaCO₂で呼吸管理を判断したい場合、重症呼吸不全、循環不全、検査と臨床像の不一致などでは、動脈血での確認が重要です。9

末梢静脈・中心静脈・混合静脈も区別する

末梢静脈の酸素値は、その部位の血流や酸素消費の影響を受けます。ScvO₂は通常、上大静脈領域を中心とした中心静脈血の値です。SvO₂は肺動脈で採血した混合静脈血の値です。両者は固定差で換算できません。

ScvO₂やSvO₂が低いときは、心拍出量低下、貧血、低酸素血症、酸素需要増大などを検討します。一方、高い値だけで全身の状態が良いとも判断できません。臨床経過や乳酸などと統合します。19, 22

13.乳酸高値は「低酸素」の同義語ではない

乳酸は重症度や循環・代謝の異常を知る重要な手掛かりですが、増える理由は1つではありません。

  • 心原性・出血性ショックなどの低灌流。
  • けいれん、強い運動などに伴う産生増加。
  • アドレナリン、β₂刺激薬などの影響。
  • 肝機能障害などによる処理低下。
  • 薬剤や代謝異常など、その他の原因。

乳酸値は、血圧、末梢循環、尿量、意識、肝機能、薬剤、時間経過と合わせて読みます。高乳酸=敗血症、正常乳酸=重症疾患なし、とはいえません。15

2026年のSurviving Sepsis Campaignは、乳酸高値を伴う敗血症・敗血症性ショックで連続測定を蘇生の判断に用いることを提案しています。同時に、初回輸液後は反応を見て個別化し、乳酸が正常になるまで輸液を続けないと明記しています。とくに心不全患者では、乳酸だけで輸液量を決めず、うっ血と低灌流の両方を評価します。16

14.症例で練習する:6つの読み方

以下はすべて学習用の架空例です。 酸塩基の解釈に焦点を当て、酸素化などの項目は省略しています。全例でAlb=4.0 g/dL、基準AG=12、基準HCO₃⁻=24と仮定します。PaCO₂はmmHg、電解質はmmol/Lです。

症例1:AG上昇型アシドーシスと整合する例

pHPaCO₂HCO₃⁻NaCl
7.252812140100

pHは低く、HCO₃⁻低下がその方向を説明します。Winter式の予測PaCO₂は26±2で、実測28は範囲内。AG=140−100−12=28です。Δ比は16÷12≒1.33になります。

解釈:AG上昇型代謝性アシドーシスがあり、呼吸性代償はおおむね整合します。 乳酸、血中ケトン、腎機能、薬物曝露などから原因を調べます。数値が整合することは、他の異常が絶対にないことの証明ではありません。

症例2:PaCO₂が正常でも、換気代償が足りない例

pHPaCO₂HCO₃⁻NaCl
7.204015140113

AG=12で、代謝性アシドーシスはAG正常型です。Winter式の予測PaCO₂は1.5×15+8=30.5±2。実測40は予測より高い値です。

解釈:AG正常型代謝性アシドーシスに、換気代償不足・呼吸性アシドーシスの合併を疑います。 下痢・Cl負荷・腎障害などの原因に加え、呼吸筋疲労、呼吸抑制、肺疾患などを評価します。発症直後で代償が追いついていない可能性も、時間経過から判断します。

症例3:pHが7.40でも、2つの異常が重なっている例

pHPaCO₂HCO₃⁻NaCl
7.402012140100

AG=28。HCO₃⁻=12に対する予測PaCO₂は26±2ですが、実測20はそれより低い値です。

解釈:AG上昇型代謝性アシドーシスと、呼吸性アルカローシスの合併を考えます。 pHが正常に見えるのは、両者が相殺されているためです。敗血症やサリチル酸中毒などでもみられますが、この検査だけでは原因を確定できません。

症例4:低Cl・低Kを伴う代謝性アルカローシス

pHPaCO₂HCO₃⁻NaClK
7.524838140902.8

pHとHCO₃⁻が高く、代謝性アルカローシスを考えます。予測PaCO₂は40+0.6×14=48.4で、実測48とおおむね整合します。

解釈:低Cl・低Kを伴う代謝性アルカローシス。 嘔吐、ループ・サイアザイド系利尿薬、ミネラルコルチコイド作用などを確認します。K=2.8は血液ガスの分類とは別に、症状、心電図、腎機能などと合わせて対応が必要です。心不全患者では、低Clだけを根拠に生理食塩水を投与せず、うっ血と循環血液量を評価します。18

症例5:慢性高CO₂血症に、急性の変化が加わった例

時点pHPaCO₂HCO₃⁻
安定時7.356032
今回7.258034

安定時の値は、慢性呼吸性アシドーシスに対する代償と整合します。そこからPaCO₂が急に20上がれば、急性緩衝によるHCO₃⁻上昇は約2という目安になります。今回のHCO₃⁻=34は、その変化に合います。

解釈:慢性呼吸性アシドーシスに急性増悪が加わった可能性があります。 今回だけの数値より、本人の過去値との比較が有用です。症状、薬剤、感染、呼吸状態などを合わせて判断します。

症例6:pH・PaCO₂・HCO₃⁻がすべて正常域でも、AGが高い例

pHPaCO₂HCO₃⁻NaCl
7.40402414088

主要3項目は一見正常ですが、AG=140−88−24=28です。ΔAG=16なので、補正HCO₃⁻の目安は24+16=40になります。

解釈:AG上昇型アシドーシスと代謝性アルカローシスの併存を疑います。 例えば、ケトンや乳酸の増加に嘔吐などが重なった状況を検討します。ただし、まず検体・電解質測定の再確認も必要です。

この例ではΔHCO₃⁻=0なので、Δ比は計算できません。また、正常HCO₃⁻=24にWinter式を機械的に当てはめて、さらに呼吸性障害まで判定する使い方はしません。「血液ガスの主要3値を見ただけで読み終えない」ことを示す例です。

15.採血・測定の落とし穴

解釈と臨床像が合わなければ、病態だけでなく検体も確認します。

確認項目起こり得る問題
動脈・静脈、採血部位静脈血を動脈血として読むなどの誤解釈
採血時の酸素濃度・流量・呼吸器設定酸素化や換気の変化を正しく比較できない
気泡の混入周囲の空気との平衡へ向かう。PO₂は条件により上昇も低下もある
測定までの遅れ検体内の細胞代謝などで値が変わる。著明な血球増多では特に注意
ヘパリン量、採血量希釈や測定への影響
動脈ラインのフラッシュ液・輸液電解質・ガスなどの結果が実際とずれる

専用シリンジで規定量を採血し、気泡を除去して適切に混和し、速やかに解析することが基本です。保存温度や許容時間は、容器・機器・検査部の手順に従います。数値と病状が合わないことを、追加確認のサインとして扱います。1

16.医療者向けの補足:尿ClとStewart法

代謝性アルカローシスでは尿Clが役立つ

尿Cl<20 mmol/Lは、嘔吐や利尿薬の作用が切れた後などのCl欠乏を考える手掛かりです。尿Clが高い場合は、利尿薬が作用中である、ミネラルコルチコイド作用が強い、Bartter/Gitelman症候群など、背景を絞ります。利尿薬使用中は尿Clが変動するため、1回の値だけでは原因を決められません。 血圧、K、腎機能、体液状態と統合します。18

Stewart法は何を加える?

Stewart法では、PaCO₂、強イオン差(SID)、アルブミンやリン酸などの弱酸総量から酸塩基を考えます。ClがNaに対して相対的に増えると酸性へ、アルブミンが減るとアルカリ性へ傾ける方向に働く、という説明ができます。

まずHenderson–Hasselbalch式、代償、補正AGで系統的に評価し、複雑な輸液・電解質・低アルブミンの影響を整理したい場合に、Stewart法を加える方法が実用的です。別の方法で計算しても、患者さんの病歴と臨床所見への照合は欠かせません。7

17.受診を急いだ方がよい症状

突然の強い息苦しさ、会話が難しい呼吸困難、意識がぼんやりする・反応が悪い、強い胸痛や冷汗、失神、明らかなチアノーゼなどがある場合は、119を含む救急対応を検討してください。 血液ガスの結果を待つ必要はありません。

普段より息切れが強い、横になると苦しい、むくみが増える、嘔吐や下痢が続く、食事や水分が取れない、糖尿病があって吐き気・腹痛・深く速い呼吸がある場合も、早めに医療機関へ相談してください。15, 17, 20

18.姫路市で息切れ・むくみ・検査結果が気になる方へ

えぷろんクリニックでは、内科・循環器内科・呼吸器内科の診療を通じて、息切れ、動悸、むくみ、生活習慣病、心不全などを相談できます。症状に応じた診察、採血、心電図、必要な検査、専門医療機関への紹介や在宅診療に対応しています。20

血液ガスの結果は、採血した状況や治療の経過と一緒に読む検査です。結果を相談する際は、検査用紙に加え、そのときの酸素投与、症状、内服薬、過去の検査結果があると役立ちます。

姫路市で息切れやむくみにお悩みの方、生活習慣病や心臓の病気が心配な方は、えぷろんクリニックへご相談ください。 症状や検査結果を確認しながら、必要に応じて適切な検査や専門医療機関との連携を行います。

よくある質問

Q1.血液ガスと普通の採血は何が違いますか?

血液ガスはpH、CO₂、O₂などを評価する検査で、目的に応じて動脈血や静脈血を使います。一般の採血で調べる腎機能・電解質・血糖などと組み合わせることで、原因が分かりやすくなります。1

Q2.SpO₂が正常なら、血液ガスも問題ありませんか?

SpO₂が正常でも、CO₂の蓄積や酸塩基異常は否定できません。貧血や心拍出量低下があれば、臓器へ届く酸素量が十分でない場合もあります。1, 12

Q3.pHが7.40なら正常ですか?

pHの数値は基準範囲ですが、酸塩基異常がないとは限りません。PaCO₂、HCO₃⁻、AG、病歴を合わせて判断します。2

Q4.静脈血ガスで代用できますか?

酸塩基平衡の評価に役立つ状況があります。ただし、静脈PO₂は動脈の酸素化の代用にならず、PCO₂も固定差で正確に換算できません。目的と重症度で選びます。9

Q5.姫路市で血液ガスの検査結果や息切れを相談できますか?

えぷろんクリニックでは、息切れや心臓・肺の病気、検査結果について相談できます。検査用紙や薬の情報をご持参ください。強い呼吸困難や意識の変化がある場合は、通常の外来予約を待たず救急受診を優先してください。20


参考文献・確認資料

基本生理、予測式の原著・専門教育資料、関連学会ガイドラインを参照しています。代償式は近似であり、個別の診断・治療は臨床所見と合わせて判断します。

  1. Davis MD, et al. AARC Clinical Practice Guideline: Blood Gas Analysis and Hemoximetry: 2013. Respir Care. 2013;58:1694–1703. https://www.aarc.org/wp-content/uploads/2025/03/davis-et-al-2013-aarc-clinical-practice-guideline-blood-gas-analysis-and-hemoximetry-2013.pdf
  2. American Thoracic Society. Interpretation of Arterial Blood Gases. https://www.thoracic.org/professionals/clinical-resources/critical-care/clinical-education/abgs.php
  3. University of Colorado. Evaluation of Acid-Base Disorders. https://medschool.cuanschutz.edu/docs/librariesprovider60/education-docs/heartbeat-im-res/suggested-read/evaluation-of-acid-base-disorders.pdf?sfvrsn=7d5f31b9_2
  4. González SB, et al. Secondary Response to Chronic Respiratory Acidosis in Humans: A Prospective Study. Kidney Int Rep. 2018;3:1163–1170. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6127438/
  5. Figge J, et al. Anion gap and hypoalbuminemia. Crit Care Med. 1998;26:1807–1810. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9824071/
  6. Paulson WD, et al. Wide Variation in Serum Anion Gap Measurements by Chemistry Analyzers Available for Purchase. Am J Clin Pathol. 1998;110:735–742. https://academic.oup.com/ajcp/article-abstract/110/6/735/1757953
  7. Jung B, et al. Diagnosis and management of metabolic acidosis: guidelines from a French expert panel. Ann Intensive Care. 2019;9:92. https://link.springer.com/article/10.1186/s13613-019-0563-2
  8. Rastegar A. Use of the DeltaAG/DeltaHCO3− ratio in the diagnosis of mixed acid-base disorders. J Am Soc Nephrol. 2007;18:2429–2431. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17656477/
  9. McKeever TM, et al. Using venous blood gas analysis in the assessment of COPD exacerbations: a prospective cohort study. Thorax. 2016;71:210–215. 訂正反映版。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4789825/
  10. Sylvester KP, et al. ARTP statement on pulmonary function testing 2020. BMJ Open Respir Res. 2020;7:e000575. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7337892/
  11. Matthay MA, et al. A New Global Definition of Acute Respiratory Distress Syndrome. Am J Respir Crit Care Med. 2024;209:37–47. https://doi.org/10.1164/rccm.202303-0558WS
  12. Extracorporeal Life Support Organization. ELSO Guidelines for Adult and Pediatric Extracorporeal Membrane Oxygenation Circuits(2022、酸素含量の式)https://www.elso.org/Portals/0/files/pdf/ELSO_Guidelines_for_Adult_and_Pediatric_Membrane_Oxygenation_Circuits.pdf / Management of Adult Patients Supported with Venovenous Extracorporeal Membrane Oxygenation(2021、酸素供給量の考え方)https://www.elso.org/Portals/0/files/pdf/Management_of_Adult_Patients_Supported_with.1.pdf
  13. CDC. Clinical Guidance for Carbon Monoxide Poisoning Following Disasters and Severe Weather. https://www.cdc.gov/carbon-monoxide/hcp/clinical-guidance/index.html
  14. Iolascon A, et al. Recommendations for diagnosis and treatment of methemoglobinemia. Am J Hematol. 2021;96:1666–1678. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9291883/
  15. Australian Commission on Safety and Quality in Health Care. Lactate in the deteriorating patient and sepsis. https://www.safetyandquality.gov.au/sites/default/files/resources/attachments/lactate_in_the_deteriorating_patient_-_sepsis_clinical_care_standard.pdf
  16. Surviving Sepsis Campaign. International Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock 2026. https://www.sccm.org/clinical-resources/guidelines/guidelines/surviving-sepsis-campaign-international-guidelines-for-management-of-sepsis-and-septic-shock-2026
  17. Umpierrez GE, et al. Hyperglycaemic crises in adults with diabetes: a consensus report. Diabetologia. 2024;67:1455–1479. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11343900/
  18. Do C, et al. Metabolic Alkalosis Pathogenesis, Diagnosis, and Treatment: Core Curriculum 2022. Am J Kidney Dis. 2022;80:536–551. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10947768/
  19. van Beest PA, et al. No agreement of mixed venous and central venous saturation in sepsis, independent of sepsis origin. Crit Care. 2010;14:R219. https://link.springer.com/article/10.1186/cc9348
  20. えぷろんクリニック公式サイト。診療内容・連携体制の確認。https://apron.clinic/
  21. Alveolar-arterial oxygen gradient in the assessment of acute pulmonary embolism. PubMed PMID: 7632205. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7632205/
  22. Textoris J, et al. High central venous oxygen saturation in the latter stages of septic shock is associated with increased mortality. Crit Care. 2011;15:R176. https://link.springer.com/article/10.1186/cc10325
  23. Alveolar gas equation and its clinical implications. Intensive Care Medicine. DOI: 10.1007/s00134-025-08273-6. https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s00134-025-08273-6.pdf
  24. Teaching alveolar ventilation with simple, inexpensive models. Advances in Physiology Education. American Physiological Society. https://journals.physiology.org/doi/full/10.1152/advan.90156.2008