脂質異常症
脂質異常症とは、コレステロールや中性脂肪の値が基準を外れた状態です。
自覚症状はほぼありませんが、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞・脳梗塞・心不全のリスクを高めます。
院長・松尾からのメッセージ
「コレステロールが少し高いだけだから大丈夫」——そう思って放置していた方が、ある日心筋梗塞を起こす。
そのような現場を、私はこれまで何度も経験してきました。
脂質異常症も高血圧と同じく、症状がほとんど出ません。
悪玉コレステロール(LDL)は、気づかないうちに血管の壁にこびりつき、動脈硬化を進行させます。
特に高血圧との組み合わせは危険です。
高血圧で傷んだ血管に悪玉コレステロールが入り込み、動脈硬化が急速に進む「最強の悪役タッグ」です。
⚠️ 脂質異常症を放置すると全身の血管で起こること
- 脳:脳梗塞(手足のまひ・言語障害)
- 心臓:心筋梗塞(突然死リスク)
- 腎臓:腎機能低下・腎不全(透析が必要になることがある)
- 下肢:閉塞性動脈硬化症(歩行困難・壊疽)
脂質異常症とは
| 種類 | 名前・通称 | 働き・リスク |
|---|---|---|
| 悪玉 | LDLコレステロール | 血管の壁にコレステロールをため込み、動脈硬化を進める。増えると危険。 |
| 善玉 | HDLコレステロール | 血管の壁の悪玉を回収・掃除する。増えるほど良い。低いと危険。 |
| 中性脂肪 | トリグリセライド(TG) | 増えすぎると悪玉を増やし、善玉を減らす。食べ過ぎ・飲み過ぎに注意。 |
管理目標値
(動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版)
| LDLコレステロール | 140 mg/dL 未満(心疾患既往のある方はより低い目標値を設定) |
|---|---|
| HDLコレステロール | 40 mg/dL 以上(高いほど良い) |
| 中性脂肪(TG) | 150 mg/dL 未満(空腹時採血) |
※ LDLの目標値はリスクによって異なります。心疾患の既往がある方・糖尿病合併の方は100 mg/dL未満(場合によっては70 mg/dL未満)が目標となります。
Lp(a)(超悪玉コレステロール)
動脈硬化を進めるだけでなく血栓もつくる「二刀流の危険因子」
値の80〜90%は遺伝で決まり食事・スタチンで下がらない
通常の健診では測定されない
欧米のガイドラインでは全成人が生涯に1回はLp(a)を測定することを推奨しています。
「LDLは正常なのに心筋梗塞になった」という方の中に、Lp(a)高値が隠れているケースがあります。
⚠️ こんな方はLp(a)の測定をご検討ください
- LDLが正常なのに心筋梗塞・脳梗塞を起こした方
- スタチンを使っているのに心血管イベントが起きた方
- 若い年齢で心臓病・脳梗塞になった家族がいる方
えぷろんクリニックではLp(a)の血液検査に対応しています。
PCSK9阻害薬(レパーサ・レクビオ)
| 項目 | レパーサ(エボロクマブ) | レクビオ(インクリシラン) |
|---|---|---|
| 種類 | 抗体医薬 | siRNA製剤(次世代型) |
| 投与頻度 | 2週間に1回または月1回 | 初回→3か月後→以降6か月に1回(年2回) |
| LDL低下効果 | 約60%低下 | 約50%低下 |
| 特長 | 豊富な臨床実績・心血管イベント抑制エビデンス確立 | 年2回投与で治療継続率が高い |
| 承認 | 2016年(日本) | 2023年11月(日本) |
※ PCSK9阻害薬の保険適用には条件があります。詳細は診察時にご相談ください。
よくある質問
Qコレステロールが少し高いだけです。薬が必要ですか?
A数値だけでなく、高血圧・糖尿病・喫煙歴・年齢・家族歴などの総合リスクで判断します。「少し高いだけ」でもリスクが重なる場合は治療が必要です。まずご相談ください。
Q食事に気をつけているのにコレステロールが下がりません
ALDLコレステロールは遺伝的な要因(家族性高コレステロール血症)で高くなる場合もあります。生活習慣改善で限界がある場合は薬物治療が必要です。
Q善玉(HDL)コレステロールを上げるには?
A有酸素運動(ウォーキング)が最も有効です。禁煙・適度な飲酒制限も有効です。
Q心筋梗塞を起こしたことがあります
A二次予防として、LDLを100 mg/dL未満(場合によっては70 mg/dL未満)に管理する必要があります。スタチンなどの薬物治療が標準治療です。
Q心筋梗塞を起こしたことがあります。LDLはどこまで下げる必要がありますか?
A急性冠症候群の既往がある方は「超ハイリスク」に該当し、日本のガイドラインでもLDL 70 mg/dL未満が目標です。
スタチンで届かない場合はPCSK9阻害薬の追加を検討します。
QLp(a)とは何ですか?測定してもらえますか?
A通常の健診では測定されない「超悪玉コレステロール」です。
当院では測定に対応しています。ご希望の方はお申し出ください。
Qスタチンで筋肉痛が出ました
Aスタチン不耐の場合、PCSK9阻害薬(レパーサ)を使う選択肢があります。
えぷろんクリニックの強み
- 循環器専門医が「リスクに応じたLDL目標値」を設定:超ハイリスク患者はLDL70未満(日本)・55未満(ESC)
- PCSK9阻害薬(レパーサ・レクビオ)に対応:スタチンで目標値に届かない方への新たな選択肢
- Lp(a)の血液検査に対応:通常の健診では測定されない超悪玉コレステロールも評価
- 常勤の超音波検査士による頸動脈エコー:動脈硬化の進行度を画像で確認
- 入院・精査が必要な際は院長自身がはりま姫路総合医療センターへ直接連携