えぷろんクリニックからだの話と日常

BLOOD TEST · Cl

血液検査のCl(クロール)が高い・低いときに注意すること

Naとの関係、酸塩基平衡、心不全・利尿薬まで詳しく解説

作成日:

血液検査の結果に並ぶ「Na・K・Cl」。ナトリウムやカリウムに比べて、Clは何を示しているのか分かりにくい項目かもしれません。

Clは、血液中の塩化物イオン(クロール)の濃度を表します。体の水分や酸性・アルカリ性のバランスを考えるうえで役立ちますが、Clだけを見て「脱水」「塩分不足」と判断することはできません。 一緒に測定したNa、K、腎機能、薬の内容、必要に応じた重炭酸イオンや血液ガスから、異常の背景を考えます。[1][3]

まず知っておきたい5つのこと
  • Clの基準範囲は検査施設で異なります。検査結果に印字された範囲を確認します。
  • Clが高くても、食塩の取りすぎとは限りません。
  • Clが低くても、体内の塩分が不足しているとは限りません。
  • 心不全や利尿薬使用中は、Clの変化が治療を見直す手掛かりになります。
  • 塩分・水分・薬を自己判断で増減せず、症状とほかの検査値を合わせて相談します。

1.血液検査のClとは? 基準値と体の中での役割

Clは、水分と電解質のバランスを支える成分です

食塩の主成分は塩化ナトリウム(NaCl)です。体内ではNa⁺とCl⁻というイオンになり、Clは主に細胞の外の体液に存在します。プラスの電荷を持つNaに対し、Clはマイナスの電荷を持つ主要な成分です。

体内のClは、食事から入り、主に腎臓によって排泄量が調整されます。体液の電気的な釣り合い、水分の分布、酸塩基平衡に関わるほか、胃酸の成分としても使われます。血液検査で測っているのは、そのうちの血清・血漿中の濃度です。[1][3]

Clの基準範囲は、検査結果の用紙を優先します

日本臨床検査標準協議会(JCCLS)の共用基準範囲では、Clは101~108 mmol/Lです。一方、Mayo Clinic Laboratoriesでは成人の基準範囲を98~107 mmol/Lとしています。[2][3]

Clは1価のイオンなので、mmol/LとmEq/Lの数値は同じです。

この違いがあるため、「Cl 100だから必ず病気」「Cl 109ならすぐに治療」という判断はできません。基準範囲は病気の有無や治療開始を一律に決める境界ではなく、過去の結果、変化の大きさ、症状、併存する異常と合わせて解釈します。[2]

2.最も大切なのは「Clだけで判断しない」こと

濃度が低いことと、体内の総量が少ないことは違います

同じ量の成分が溶けていても、水が増えると濃度は下がり、水が減ると濃度は上がります。血清Clも、水分と電解質の両方の影響を受けます。

たとえば、嘔吐や利尿薬によってClを失うこともあれば、心不全で水分がたまって濃度が下がることもあります。実際には、水分貯留とClの喪失が同時に起きる場合もあります。[1][9]

したがって、「むくんでいるのだからClは多いはず」「Clが低いのだから塩を足せばよい」とは言えません。

一緒に見ると意味が分かる検査

表は左右にスクロールしてご覧いただけます。

一緒に確認する項目確認する意味
Na(ナトリウム)水分との釣り合い、ClがNaに対して相対的に多いか少ないか
K(カリウム)利尿薬や消化管からの喪失、アルカローシスとの関係、不整脈の危険性
HCO₃⁻(重炭酸イオン)酸塩基平衡を考える中心的な項目
クレアチニン・eGFR・尿素窒素腎機能や体液量の評価の一部
アルブミンアニオンギャップの解釈に影響
血液ガスのpH・PCO₂代謝性の異常か、呼吸に関連する変化かを確認
必要時の尿Clなど腎臓がClを保持しているか、尿に失っているかを考える

血液ガスや尿Clは、Clが少し基準範囲を外れた人全員に必要な検査ではありません。酸塩基異常が疑われる場合などに、目的を決めて追加します。[3][5][7][18]

3.Clが低いとき:嘔吐・利尿薬・心不全などを考える

① 嘔吐や胃液の吸引によってClを失っている

胃液には塩酸(HCl)が含まれます。嘔吐が続いたり、胃管から胃液を吸引したりすると、酸とClを体外に失います。

このとき、Cl低下に加えてHCO₃⁻が上昇し、代謝性アルカローシスという、体液をアルカリ性側へ動かす異常を伴うことがあります。Kの低下や体液量の減少も重なるため、嘔吐の回数だけでなく、食事・水分摂取、尿量、血圧、薬剤も確認します。[5][6]

② ループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬の影響

フロセミドなどのループ利尿薬、サイアザイド系・類似薬は、腎臓でNaClの再吸収を抑え、尿への排泄を増やします。治療中にClが下がり、低K血症や代謝性アルカローシスを伴うことがあります。[5][9]

ただし、利尿薬を使っているから必ず低Clになるわけではありません。また、低Clがあるだけで「利尿薬が多すぎる」とも判断できません。まだうっ血が強いのか、体液量が減りすぎているのかで、必要な対応は異なります。

③ 水分貯留によって薄まっている

心不全などで水分の調節が崩れると、NaやClの濃度が低下することがあります。体には水分がたまり、むくみや息切れがあるのに、血液検査ではClが低い状態になり得ます。

この場合、Clの数字を上げる目的で塩分や飲水量を増やすと、病状に合わない対応になることがあります。体重変化、むくみ、呼吸状態、血圧、腎機能を合わせて評価することが大切です。[1][9]

④ 呼吸の異常に対する腎臓の代償

COPDなどで二酸化炭素が慢性的にたまると、腎臓は酸塩基のバランスを補うためHCO₃⁻を増やします。この状態でClが低くなることがあります。

つまり、低Cl+高HCO₃⁻だけで、一次的な代謝性アルカローシスとは決められません。 呼吸性アシドーシスへの代償なのか、代謝性アルカローシスも重なっているのかを、病歴と血液ガスで考えます。[3][5]

⑤ 腎臓からの塩分喪失やホルモンの影響

原因がはっきりしない低Clに、低Kやアルカローシスが重なる場合には、Bartter症候群・Gitelman症候群などの尿細管の病気、原発性アルドステロン症などを検討することもあります。血圧、Mg、尿電解質、服薬歴が鑑別の手掛かりです。低Clだけでこれらの病気が診断されるわけではありません。[5][6]

4.Clが高いとき:水不足だけでなく、重炭酸の減少や輸液も確認する

① 水が相対的に不足している

飲水不足や水分喪失などで、電解質に対して水が不足すると、NaとClがともに高くなることがあります。

ただし、「脱水」は日常用語として幅広く使われます。水と塩分を一緒に失う場合には、循環する体液量が減っていてもNaやClが高くならないことがあります。高Clだけで体液量の不足を確定したり、正常Clだから不足を否定したりはできません。[3][4]

② 下痢などでHCO₃⁻を失っている

腸液にはHCO₃⁻が含まれます。下痢などでそれを失うと、Naに対してClの割合が相対的に大きくなり、高Cl性の代謝性アシドーシスを来すことがあります。

「下痢をするとClが必ず上がる」という意味ではありません。水分・Naの変化や別の異常が重なるため、実際のCl値が正常範囲にとどまる場合もあります。[3][4]

③ 腎臓で酸の排泄やHCO₃⁻の保持がうまくできない

尿細管性アシドーシスや一部の腎機能障害では、Clが相対的に増えた代謝性アシドーシスがみられます。

一方、腎機能障害では、測定されていない酸性物質がたまるタイプのアシドーシスや、複数の異常の混在も起こります。「腎臓が悪い=高Cl型」と固定して覚えないことが大切です。[3][4]

④ 生理食塩水など、輸液の影響

生理食塩水には、NaとClがそれぞれ154 mEq/L含まれます。Cl濃度は通常の血液より高く、投与量や患者さんの状態によっては血清Cl上昇や高Cl性代謝性アシドーシスにつながります。[13][21]

採血前にどのような点滴をどのくらい受けたかは、解釈に役立つ情報です。

⑤ 薬や、呼吸性の異常への代償

アセタゾラミドは尿へのHCO₃⁻排泄を増やすため、Clが相対的に高くなる酸塩基変化に関わります。また、慢性的な過換気による呼吸性アルカローシスでは、腎臓の代償でHCO₃⁻が低下します。[6][8]

したがって、高Cl+低HCO₃⁻という組み合わせも、血液ガスを見ずに代謝性アシドーシスと断定することはできません。

5.専門的に読む:Clと重炭酸、アニオンギャップの関係

ここからは、検査結果をもう一段詳しく理解したい方と、医療者向けの解説です。

Clは、Naとの相対関係で意味が変わります

血液では、プラスとマイナスの電荷が全体として釣り合っています。Naに対してClが相対的に増える変化は、他の条件が一定なら酸性側に働きます。反対に、Clが相対的に減る変化はアルカリ性側に働きます。

ただし、実際のpHには二酸化炭素、アルブミン、乳酸なども影響します。Clの絶対値と、Clの酸塩基への影響は同じものではありません。[4]

AG=Na−(Cl+HCO₃⁻)

この式で計算する値を、アニオンギャップ(AG)と呼びます。ここではKを含めない式を使います。

AG = Na −(Cl + HCO₃⁻)

AGは、血液の電荷が釣り合っていないという意味ではありません。通常の式に入れていないイオンの影響を、差として捉えた指標です。アルブミン、乳酸、ケトン体などの影響を考えるために使います。[4][7]

以下は、関係を理解するために作った架空の計算例です。実患者の診断例ではありません。電解質の単位はmEq/Lです。

表は左右にスクロールしてご覧いただけます。

計算例NaClHCO₃⁻AG読み取れること
基本例1401042412比較のための組み合わせ
Cl低下+HCO₃⁻上昇140923612アルカローシスや呼吸性の代償を検討
Cl上昇+HCO₃⁻低下1401141412正常AG型代謝性アシドーシス、呼吸性アルカローシスの代償などを検討
Cl正常+HCO₃⁻低下1401041224高AG型アシドーシスを疑う重要な組み合わせ
NaとClがともに高い1501142412Cl 114でも、上のCl 114の例とは酸塩基の意味が異なる

Clが基準範囲内でも、重要な酸塩基異常はあり得ます。 また、最後の例はHCO₃⁻が保たれていますが、高Na血症自体の評価が必要です。「酸塩基の数字が近い」ことと「問題がない」ことは同義ではありません。

表は異常を疑うための例であり、最終的な分類にはpH・PCO₂・臨床経過が必要です。AGの基準範囲も検査法や施設で異なるため、12を一律の正常値として使うものではありません。[4]

Na−Cl差だけでは、酸塩基異常を除外できません

AGの式を並べ替えると、

Na − Cl = HCO₃⁻ + AG

となります。

Na−Cl差が36であっても、「HCO₃⁻ 24+AG 12」の場合と、「HCO₃⁻ 12+AG 24」の場合があります。差だけでは、HCO₃⁻が低下してAGが上がっている状態を見逃す可能性があります。

Na−Cl差は有用な補助情報ですが、HCO₃⁻・AGや血液ガスの代わりにはなりません。[4]

アルブミンが低いと、AGの上昇が隠れます

アルブミンはAGを構成する主要な成分です。低アルブミン血症ではAGが低くなるため、酸が増えていても見かけのAGがあまり上がらないことがあります。[7]

よく使われる近似補正式は、Alb 4.0 g/dLを基準にした次の式です。

補正AG = 実測AG + 2.5 ×[4.0 − Alb(g/dL)]

たとえば、実測AG 12、Alb 2.0 g/dLなら、補正AGは17です。判定は施設の基準範囲も踏まえて行います。

この補正も万能ではありません。乳酸やケトン体の増加が疑わしければ、それらを直接測定します。正常Clや一見正常のAGを、重い病態を否定する根拠にはしないことが大切です。

6.低Cl性アルカローシスは、なぜ続くのでしょうか

嘔吐や利尿薬のあとに起こるアルカローシスは、単に「水が減って血液が濃くなった」だけでは説明できません。

体液量の減少、Cl欠乏、K欠乏、腎機能低下などが重なると、腎臓が余分なHCO₃⁻を排泄しにくくなります。たとえば、腎臓の一部には、Clを取り込みながらHCO₃⁻を尿に出すpendrinという交換輸送体があります。尿細管内で利用できるClが不足すると、この排泄の仕組みが働きにくくなります。[5][6]

そのため、ClやKの欠乏がアルカローシスを維持する条件になり得ます。適切なCl補充や低Kの補正が治療に役立つ場面はありますが、補充方法と量は体液量・腎機能・K値によって決めます。

うっ血がある心不全患者に、低Clだけを理由に生理食塩水を投与することはできません。 また、高K血症では塩化カリウムを補充しません。腎機能が低下している場合は、K値や尿量を確認し、補充の必要性・量・再検査の時期を慎重に判断します。治療するのは数字だけでなく、その異常を起こし、維持している病態です。[6][22]

7.尿Clで分かること:利尿薬使用中は特に注意

「尿Cl 20」は、主に代謝性アルカローシスの鑑別で使います

低Clやアルカローシスの原因を調べる際に、尿Clを測定することがあります。代表的には、代謝性アルカローシスがある状況で次のように解釈します。[5][6]

表は左右にスクロールしてご覧いただけます。

尿Clの所見主な手掛かり
おおむね20 mmol/L未満嘔吐やCl喪失後など、腎臓がClを強く保持している状態を示唆
おおむね20 mmol/L以上利尿薬の作用中、腎からのCl喪失、鉱質コルチコイド作用過剰などを検討

これは、健康な人の「尿Clの正常値」を示す表でも、輸液の指示を自動的に決める表でもありません。

利尿薬の投与後は、体内のClが不足していても尿Clが高くなります

利尿薬が作用している間は、NaやClを尿へ排泄しています。したがって、尿Clが高いからCl欠乏ではない、とは言えません。

薬の種類、最後に服用・投与した時刻、採尿時刻を確認します。必要に応じた反復測定に加え、血圧や体液量、K・Mgなどを合わせて原因を検討します。[5]

また、嘔吐に伴うアルカローシスでは、NaがHCO₃⁻とともに尿へ出るため、体液量が減っていても尿Naが高いことがあります。そうした場面で尿Clが参考になります。[18]

8.心不全では、なぜClに注目するのでしょうか

Naが正常でも、低Clを見落とさないことが大切です

心不全の観察研究では、低Clが利尿薬への反応低下や予後不良と関連しています。Testaniらの慢性心不全2,699例の解析では、Naを考慮しても低Clと死亡との関連が認められました。[10]

Hanbergらの研究でも、ループ利尿薬使用中の患者で低Clと利尿反応不良、神経体液性因子の活性化との関連が報告されています。[9]

このため、Naが保たれていてもClが下がっていれば、利尿薬の経過、うっ血、腎機能、K、HCO₃⁻を見直す手掛かりになります。

腎臓にとってClは、調節に関わる情報でもあります

腎臓は尿細管を流れるNaClの情報を使い、濾過やレニン分泌などを調節しています。また、細胞内Clの変化と、NaCl再吸収を調節する仕組みとの関係も研究されています。

ただし、血清Clの低下と、尿細管内・細胞内のCl低下は同じ測定ではありません。 低Clと利尿抵抗性の関連には複数の要因が関わるため、「血清Clを上げれば利尿薬が効く」と単純には言えません。[9]

アセタゾラミドの研究から、どこまで言えるのでしょうか

ADVOR試験では、体液過剰を伴う入院中の急性心不全患者に、静注ループ利尿薬とアセタゾラミドを併用することで、3日以内の除うっ血成功率が42.2%となり、プラセボ併用の30.5%を上回りました。一方、3か月の死亡・心不全再入院を明確に減らす結果は示されませんでした。[11]

なお、ADVORで使われたのは静注アセタゾラミドです。国内では、経口製剤の電子添文に心性浮腫の適応がありますが、注射製剤の電子添文には同じ適応は記載されていません。試験で検証された投与法と、国内で承認された適応・用法は分けて確認する必要があります。

2024年のClに関する事後解析では、低Clは除うっ血の遅れなどと関連しました。一方、アセタゾラミドの除うっ血効果が、ベースラインClによって明らかに異なるという結果ではありませんでした。[12]

この結果は、「外来でClが低い人にはアセタゾラミドを使う」「Clを補えば心不全の予後がよくなる」という意味ではありません。 治療の選択には、うっ血、腎機能、K、酸塩基平衡、併用薬などの評価が必要です。

低Clと予後不良との「関連」と、Clを補う治療の「利益」は、分けて考える必要があります。

9.生理食塩水は、Clが多いから避けるべきなのでしょうか

生理食塩水はCl濃度が高いため、多量投与時の酸塩基変化に注意が必要です。一方、細胞外液やClの欠乏を補う目的などで使われる輸液でもあります。[13]

ICUで治療を受ける重症成人を対象にしたSMART試験では、30日以内の死亡・新規の腎代替療法・持続的な腎機能障害を合わせた複合評価項目が、平衡晶質液群で少なくなりました。一方、同じくICUの重症成人を対象に90日死亡率を主要に評価したPLUS試験やBaSICS試験では、有意な差は認められませんでした。評価項目の違いにも注意が必要です。[14][15][16]

したがって、「生理食塩水は使うべきではない」「Clの少ない点滴ならいつでも優れている」とは結論できません。投与する目的、必要量、血圧、体液量、Na・Cl・K、酸塩基平衡などを踏まえて選びます。

10.数値が不自然なときは、測定上の問題も考えます

過去の結果や臨床像と合わない極端なCl高値、特にAGが著しく低い・負になる結果では、再検や検査室への確認が役立つことがあります。

まれに、臭化物や高濃度のサリチル酸などが測定系へ干渉し、Clが実際より高く表示される偽性高Cl血症が起こります。測定法によって影響が異なり、サリチル酸中毒の酸塩基異常を見えにくくする場合もあります。[17]

通常量の薬を飲んでいる人が一律に心配する必要はありません。臨床状況と検査値が食い違うときに、薬・曝露歴と測定法を確認するという位置付けです。

11.Clの異常で受診するとき、何に注意すればよいでしょうか

少しだけ外れていても、まずは全体を確認します

症状がなく、Clだけがわずかに基準範囲を外れている場合、直ちに重い病気を意味するとは限りません。結果を放置せず、前回値、Na・K・腎機能、薬の変更などを主治医と確認してください。

受診時には、今回と過去の検査結果、お薬手帳、最近の体重変化、嘔吐・下痢の有無、飲水・食事の状況が役立ちます。[1][5]

早めに医療機関へ相談したい症状

  • 嘔吐や下痢が続き、水分や食事を十分に取れない
  • 尿が明らかに少ない、立ちくらみや強いだるさがある
  • 動悸、筋力低下、手足のつりなどが目立つ
  • 心不全治療中に、むくみや体重増加、息切れが悪化した
  • 利尿薬の変更後に、急な体重減少、ふらつき、食事量低下が起きた

安静でも強く息苦しい、意識がおかしい、けいれん、失神、強い胸痛が続く場合は、Clの数値を確認するより先に119番などで救急対応を求めてください。[20]

これらの症状がすべてCl異常から起こるわけではありません。Na・Kの異常、酸塩基異常、心不全など、背景にある病態を含めて評価する必要があります。[1][19]

自己判断で塩分・水分・薬を調整しないでください

Clが低いからと塩分を増やしたり、Clが高いからと大量に水を飲んだりすることは、原因によっては適切ではありません。特に心不全や腎臓病がある方は、これまでの食事・水分の指示を勝手に変えず、検査結果をもとに相談してください。利尿薬などの中止・増量も主治医と決めます。[1]

12.よくある質問

Q1.Clが高いのは、塩分の取りすぎですか?

血清Clは食塩摂取量だけで決まらず、水分、腎機能、HCO₃⁻、輸液などに影響されます。Clが高いだけで塩分の取りすぎとは判断できません。[1][3]

Q2.Clが低いときは、塩を取れば治りますか?

Clを失っている場合もありますが、心不全などで水分がたまって薄まっている場合もあります。低Clだけを理由に塩分を増やさず、原因を確認します。[1][9]

Q3.Clが正常なら、酸塩基の異常はありませんか?

正常Clでも、乳酸やケトン体などが増える高AG型の代謝性アシドーシスは起こり得ます。ClだけでなくHCO₃⁻、AG、必要に応じて血液ガスなどを確認します。[4][7]

Q4.利尿薬を飲んでいてClが低い場合、薬をやめるべきですか?

自己判断で中止しないでください。利尿薬の影響は考えますが、うっ血が残っているのか、体液量が減りすぎたのかで対応が違います。体重、症状、腎機能、K、HCO₃⁻も合わせて判断します。[9][12]

Q5.姫路市で血液検査のCl異常は、どこに相談すればよいですか?

まずは検査を受けた医療機関や、かかりつけの内科でご相談ください。えぷろんクリニックでも、検査結果、症状、服用中の薬を確認し、必要に応じた採血・心電図などの評価や専門医療機関への紹介を行います。血液ガスや尿Clなどは、必要性と実施体制を踏まえて検討します。[19]

姫路市で血液検査の異常・むくみ・息切れが気になる方へ

Clは、単独の高い・低いだけで答えが出る項目ではありません。Naとの関係、HCO₃⁻、腎機能、薬剤、体液量、前回からの変化を合わせることで、その意味が見えてきます。

姫路市飾磨区のえぷろんクリニックでは、内科・循環器内科・呼吸器内科の診療を行い、検査結果の相談、血圧管理、生活習慣病の継続管理、心不全やむくみ・息切れの評価に対応しています。必要に応じて地域の専門医療機関と連携します。[19]

姫路市で血液検査のCl異常や、むくみ・息切れにお悩みの方、生活習慣病や心臓の病気が心配な方は、えぷろんクリニックまでご相談ください。症状や検査結果を確認しながら、必要に応じて適切な検査や専門医療機関との連携を行います。

参考文献・確認資料

  1. MedlinePlus. Chloride Blood Test. 米国国立医学図書館の患者向け検査解説。
  2. 日本臨床検査標準協議会. 日本における主要な臨床検査項目の共用基準範囲―解説と利用の手引き. 2022/10/01版.
  3. Mayo Clinic Laboratories. Chloride, Serum. 検査基準範囲・臨床的解釈。
  4. Mallat J, et al. Use of Sodium-Chloride Difference and Corrected Anion Gap as Surrogates of Stewart Variables in Critically Ill Patients. PLoS One. 2013;8:e56635.
  5. Kamel KS, Shapiro J, Harel Z. A 23-year-old woman with metabolic alkalosis and hypokalemia. CMAJ. 2024;196:E760–E764.
  6. Do C, Vasquez PC, Soleimani M. Metabolic Alkalosis Pathogenesis, Diagnosis, and Treatment: Core Curriculum 2022. Am J Kidney Dis. 2022;80:536–551.
  7. Figge J, Jabor A, Kazda A, Fencl V. Anion gap and hypoalbuminemia. Crit Care Med. 1998;26:1807–1810.
  8. Krapf R, et al. Chronic Respiratory Alkalosis: The Effect of Sustained Hyperventilation on Renal Regulation of Acid–Base Equilibrium. N Engl J Med. 1991;324:1394–1401.
  9. Hanberg JS, et al. Hypochloremia and Diuretic Resistance in Heart Failure: Mechanistic Insights. Circ Heart Fail. 2016;9:e003180.
  10. Testani JM, et al. Hypochloraemia is strongly and independently associated with mortality in patients with chronic heart failure. Eur J Heart Fail. 2016;18:660–668.
  11. Mullens W, et al. Acetazolamide in Acute Decompensated Heart Failure with Volume Overload. N Engl J Med. 2022;387:1185–1195.
  12. Van den Eynde J, et al. Serum Chloride and the Response to Acetazolamide in Patients With Acute Heart Failure and Volume Overload: A Post Hoc Analysis From the ADVOR Trial. Circ Heart Fail. 2024;17:e011749.
  13. PMDA. 生理食塩液「VTRS」電子添文. 2024年7月改訂. 組成・適応。
  14. Semler MW, et al. Balanced Crystalloids versus Saline in Critically Ill Adults(SMART). N Engl J Med. 2018;378:829–839.
  15. Finfer S, et al. Balanced Multielectrolyte Solution versus Saline in Critically Ill Adults(PLUS). N Engl J Med. 2022;386:815–826.
  16. Zampieri FG, et al. Effect of Intravenous Fluid Treatment With a Balanced Solution vs 0.9% Saline Solution on Mortality in Critically Ill Patients(BaSICS). JAMA. 2021;326:818–829.
  17. Wiederkehr MR, et al. Pseudohyperchloremia and Negative Anion Gap – Think Salicylate! Am J Med. 2021.
  18. Mayo Clinic Laboratories. Chloride, Random, Urine. 尿Clの臨床的解釈。
  19. えぷろんクリニック. 公式サイト・内科診療案内. 診療内容と受診先の案内。
  20. 総務省消防庁. 重大な病気やけがの可能性があります! 救急車利用に関する成人向け資料。
  21. Scheingraber S, et al. Rapid saline infusion produces hyperchloremic acidosis in patients undergoing gynecologic surgery. Anesthesiology. 1999;90:1265–1270.
  22. DailyMed. Potassium chloride extended-release tablets. 腎機能低下時の補充・モニタリングに関する製剤情報。