からだの話と日常 / 薬の正しい使い方

胃・腎臓・心臓への影響から、飲み合わせ、湿布・坐薬、受診の目安まで。薬の名前よりも「役割」と「自分に合うか」を確かめましょう。

えぷろんクリニック | 内科・循環器内科・呼吸器内科 | 資料確認:2026年11月3日

最初に知っておきたいこと

ロキソニンは痛みや炎症を抑える薬、クラビットは細菌による感染症を治療する抗菌薬です。「どちらが強い痛み止めか」という比較はできません。名前が似ているカロナールも含め、薬袋やお薬手帳で成分名を確認しましょう。1,2,3

「ロキソニンとカロナールはどう違う?」「胃薬も飲んでいれば大丈夫?」「心臓や腎臓の病気があっても使える?」。痛み止めは身近な薬ですが、痛みの原因、持病、飲み合わせによって選び方が変わります。この記事では、代表的な薬の違いを整理し、日常生活で気をつけたいことを詳しく解説します。

今、強い症状がある方へ

突然の激しい頭痛、胸・背中の激痛、胸の圧迫感に冷や汗や息苦しさを伴う、意識がおかしい、片側の手足が動かしにくい場合は、痛み止めで様子を見ず119番してください。18

主な痛み止めの違いを比較|クラビットは別の種類の薬

商品名だけではなく、有効成分・役割・注意する臓器を一緒に確認すると整理できます。以下は代表的な特徴で、効き目の順位表ではありません。

代表的な薬の比較
商品名・成分名 分類と主な役割 主な注意点
ロキソニン
ロキソプロフェン
NSAIDs。痛み・炎症・発熱を抑える 胃腸障害、腎機能悪化、むくみ・心不全、喘息発作
カロナール
アセトアミノフェン
解熱鎮痛薬。痛み・発熱を抑える。抗炎症作用は弱い 過量や成分の重複による肝障害。持病や体格に応じた用量確認
セレコックス
セレコキシブ
COX-2選択的NSAID。関節痛・腰痛、手術後などの痛み・炎症に使用 胃への負担に配慮して選ぶ場合があるが、腎臓・心血管への注意は必要
ボルタレン
ジクロフェナク
NSAIDs。痛み・炎症を抑える 胃腸・腎臓・心血管への影響。妊娠中など使用できない条件がある
クラビット
レボフロキサシン
ニューキノロン系抗菌薬。痛み止めではない 腎機能に応じた調整、けいれん、不整脈、腱障害など

各薬の電子添文を基に整理。適応・禁忌は薬や剤形で異なります。1,2,3,4,5

イブプロフェンもNSAIDsの一つです。「イブ」「バファリン」などの市販薬は、同じシリーズでも製品によって成分が異なります。ブランド名が違っても、同じ系統や同じ成分が重なることがあります。

痛み止めは、痛みの原因をすべて治しているわけではありません

炎症を抑えるNSAIDs

捻挫や関節炎などでは、傷ついた組織の周囲に炎症が起こり、痛みを感じやすくする物質が増えます。その一つがプロスタグランジンです。NSAIDsは、これを作る酵素COXの働きを抑えて痛みや炎症を和らげます。

ただし、プロスタグランジンには胃の粘膜や腎臓の血流を守る役割もあります。炎症を抑える作用と、胃腸・腎臓への副作用は同じ仕組みの延長線上にあります。1,4,19,22

痛み・熱を和らげるアセトアミノフェン

アセトアミノフェンは主に中枢、つまり脳などで痛みや体温の調節に関わると考えられています。作用の全体像は完全には解明されていません。NSAIDsに比べて末梢での抗炎症作用は弱く、薬の性質が異なります。2

原因治療が必要な痛みもある

歯の膿、骨折、帯状疱疹、心筋梗塞などは、痛みが軽くなっても原因への治療が必要です。また、痛みは睡眠や活動を妨げるため、我慢し続けることがよいわけでもありません。痛みを和らげることと、原因を調べることを並行するのが基本です。

ロキソニン・カロナール・セレコックス・ボルタレンの特徴

ロキソニン:炎症を伴う痛みに使うが、胃に無害ではない

ロキソプロフェンは、体内で活性型に変わって働く「プロドラッグ」です。しかし、吸収後には全身で作用するため、プロドラッグだから胃潰瘍や腎障害が起こらない、という意味ではありません。痛みが治まらないときに追加し続けず、原因や使用量を確認します。1

医療用のロキソニンは、消化性潰瘍、重篤な腎機能障害・肝機能障害・心機能不全などがある方には使用できません。市販のロキソニンSでは、心臓病・腎臓病・肝臓病や胃・十二指腸潰瘍で治療中の方は服用しないこととされており、処方薬と市販薬の使用条件を分けて確認します。18

カロナール:「弱い薬」と決めつけず、用量と適応を見る

カロナールには200mg・300mg・500mgなどの規格があり、同じ「1錠」でも成分量が違います。NSAIDsが使いにくい方で候補になりますが、肝機能、栄養状態、飲酒、腎機能も考慮します。

重い肝障害がある方は使用できません。食事がほとんど取れない状態や多量飲酒の習慣も伝えてください。総合かぜ薬などにアセトアミノフェンが含まれている場合は併用を避けます。長期に使う場合は、肝機能検査の必要性も確認します。2,20

詳しく知りたい方へ:カロナールの用量は「目的」で異なります

医療用カロナールの電子添文では、成人の各種疼痛に対して1回300〜1,000mg、投与間隔4〜6時間以上、1日総量4,000mgが上限です。一方、急性上気道炎の解熱・鎮痛では1回300〜500mgを頓用し、原則1日2回まで、最大1,500mgとされています。

4,000mgは誰にでも勧められる量ではありません。体重、肝・腎機能、低栄養などにより減量や間隔調整が必要です。小児・市販薬には別の用量があります。この記事の数字を使って自己増量しないでください。2

セレコックス:胃への配慮と心血管・腎臓への配慮は別

セレコキシブはCOX-2を比較的選択的に抑えます。非選択的NSAIDsと比べ、消化管障害のリスクを抑える目的で選択することがあります。ただし胃潰瘍が起こらないわけではなく、重篤な心不全・腎障害などでは禁忌です。日本での適応は関節・筋骨格系や手術後などの痛みで、一般的な風邪の解熱薬として扱う薬ではありません。4,21

ボルタレン:単純な「最強の痛み止め」という説明は不適切

ジクロフェナクもNSAIDsです。効き方は痛みの病態、用量、剤形で変わり、すべての痛みに対してロキソニンより優れるとはいえません。内服薬では、重篤な高血圧や心・腎・肝障害などに禁忌があり、妊婦または妊娠している可能性のある方にも使用できません。自己判断で「効きが強そうな薬」に切り替えないことが大切です。5

胃薬を一緒に飲めば、痛み止めを続けても大丈夫?

胃薬で痛み止めの副作用すべてを予防することはできません。NSAIDsによる胃・十二指腸潰瘍は、胃の防御機構が弱くなることなどで起こります。高齢者、潰瘍・消化管出血の既往がある方、複数のNSAIDsや抗血栓薬を使う方では、特に注意します。胃痛が目立たず出血することもあります。21,22

胃酸を抑えるPPIや、ボノプラザンなどのP-CABは、リスクに応じて潰瘍の予防・再発予防に使われます。2026年の消化性潰瘍診療ガイドラインでも、潰瘍歴や抗血栓薬の併用などに応じた対策が整理されています。すべての「胃薬」が同じ予防効果を持つわけではなく、適応や保険上の扱いも異なります。21

これらを飲んでいても、腎機能悪化、血圧上昇、心不全、喘息発作を防ぐことはできません。空腹を避けて服用しても同様です。黒くタール状の便、吐血、強い腹痛が出たら、追加服用せず速やかに医療機関へ連絡してください。冷や汗、ふらつき、失神を伴えば救急要請が必要です。1,18,19

痛み止めで腎臓が悪くなる?脱水時と薬の組み合わせに注意

腎臓は、血液をろ過して尿を作る臓器です。血流が足りなくなったとき、プロスタグランジンは腎臓の血管を広げる方向に働きます。NSAIDsがこの調節を妨げると、ろ過する力が急に低下し、急性腎障害を起こす場合があります。19,20

  • 嘔吐・下痢・発熱があり、水分や食事を十分取れていない
  • 慢性腎臓病、心不全、糖尿病などがある
  • 高齢で、複数の薬を飲んでいる
  • 利尿薬やACE阻害薬・ARBなどを服用している

こうした状況では、普段は問題がなかった量でも安全とは限りません。尿が少ない、むくみが増えた、強くだるいなどの変化は相談が必要です。腎機能が低下していても、初期には自覚症状が乏しいことがあります。19

「利尿薬+ACE阻害薬・ARB+NSAIDs」は特に確認

利尿薬は体内の水分量を減らし、ACE阻害薬・ARBは腎臓のろ過圧に関わる血管の働きを変えます。そこにNSAIDsが加わると、腎臓が血流低下に対応しにくくなることがあります。これは「トリプルワーミー」と呼ばれる組み合わせです。12

大切なのは、心臓や血圧の薬を勝手に中止することではなく、新しい痛み止めを追加する前に処方全体を確認することです。脱水時の対応も主治医に相談してください。心不全で水分量の指示がある方が、予防のために大量の水を飲むことは適切ではありません。

心不全・高血圧・心筋梗塞のある方が注意したい理由

水分と塩分がたまり、むくみや息切れにつながる

NSAIDsは腎臓からの塩分・水分の排泄を妨げ、利尿薬や一部の降圧薬の効果を弱めることがあります。その結果、体重増加、むくみ、血圧上昇、心不全の悪化につながる場合があります。ロキソニンやセレコックスの電子添文には、重篤な心機能不全で使わないことが示されています。1,4

心不全で通院中の方は、整形外科や歯科で処方を受けるときも心不全と使用薬を伝えましょう。痛み止めを開始してから体重やむくみが増えた、横になると息苦しい、尿が減った場合は早めの連絡が必要です。

血管が詰まるリスクも考える

NSAIDsでは心筋梗塞や脳卒中などにも注意が必要です。リスクは薬剤、用量、期間、患者さんの背景で異なり、開始早期から問題になる場合があります。心筋梗塞の既往などがある方では、必要性と代替手段を慎重に検討します。原則は必要な場合に、効果が得られる最小限の量を、必要最短期間です。23

アセトアミノフェンを候補にする場合も、長期間・高用量で血圧への影響が全くないとはいえません。高血圧の方は、痛み止めを変更・継続したときの家庭血圧も診察時に見せてください。13

ロキソニンとクラビットは一緒に飲める?

電子添文上は「併用注意」。自己判断での追加は避ける

クラビットの成分レボフロキサシンは抗菌薬です。ロキソニンの電子添文ではレボフロキサシンなどとの併用について、けいれんを誘発する作用が強まる可能性が示されています。クラビット側にも、一部のNSAIDsとの併用注意の記載があります。1,3

これは「必ずけいれんが起こる」「一律に併用禁忌」という意味ではありません。医師が必要性や持病を評価して処方する場合があります。ただし、処方されたクラビットに市販のロキソニンやイブプロフェンを自分で追加する前には、医師・薬剤師に確認してください。

てんかん・けいれんの既往、腎機能低下、他の併用薬がある場合は、特に判断が必要です。服用時間を少しずらせば、この相互作用を確実に避けられるわけではありません。すでに両方を処方されていて不安なときは、薬の名前・量・服用時刻を伝えて処方元に確認しましょう。

クラビットで感染が改善すると痛みが軽くなることはある

細菌による感染が痛みの原因なら、適切な抗菌薬によって感染が改善し、結果として痛みが軽くなることはあります。しかし、これは直接の鎮痛作用ではありません。普通の風邪の多くはウイルスが原因で、抗菌薬を使っても治癒を早めることはできません。残薬を「のどの痛み止め」として使わず、病態に合う治療を受けてください。17

クラビットでは、痛み止め以外の飲み合わせも確認

酸化マグネシウムなどのマグネシウム含有薬、アルミニウム含有制酸薬、鉄剤は、レボフロキサシンの吸収を妨げる場合があります。電子添文では、これらをクラビット服用の1〜2時間後に投与する対応が示されています。具体的な服用時刻は薬剤師と決めてください。これは吸収の問題であり、先ほどのけいれんの相互作用とは別です。3

このほか、腱の痛み・腫れ、低血糖、心電図のQT延長に関連する不整脈、大動脈瘤・大動脈解離などの重大な副作用が記載されています。アキレス腱などに新しい痛みが出た場合は服用を中止し、運動を避けて速やかに処方元へ相談してください。失神や突然の強い胸・背中・腹部の痛みは救急評価が必要です。これらは全員に起こるものではありませんが、痛み止めで隠して服用を続けないことが大切です。3,18

痛み止めの飲み合わせ|重ね飲みを避けたい組み合わせ

組み合わせ 問題になり得ること 確認すること
ロキソニン+イブプロフェン・ボルタレン・セレコックスなど NSAIDsが重なり、胃腸・腎臓などの副作用が増えるおそれ 自己判断で追加・交互使用をしない
カロナール+アセトアミノフェン入りのかぜ薬・配合鎮痛薬 同じ成分の過量投与、肝障害 商品名ではなく、全製品の成分と1日総量を確認
NSAIDs+抗凝固薬・抗血小板薬 消化管などの出血リスク ワルファリン、DOAC、アスピリン、クロピドグレルなどの使用を伝える
NSAIDs+利尿薬・ACE阻害薬・ARB 腎機能悪化、血圧管理への影響 脱水、血圧、腎機能、併用の必要性を確認
NSAIDs+リチウム・メトトレキサート 相手の薬の濃度上昇や毒性増強のおそれ 処方医・薬剤師による個別の確認が必要
痛み止め+飲酒 肝障害、胃腸障害、眠気・転倒などのリスク 服用前後の飲酒を避け、常飲量も伝える

組み合わせの注意の強さは成分と患者さんの状態で異なります。上表は一律の「併用禁忌表」ではありません。1,2,12,20,21

ロキソニンとカロナールは成分が異なりますが、それだけで自由に併用できるわけではありません。医療者が併用を選ぶ場合には、目的、各薬の量、回数、期間を明確にします。自己流の交互服用は、服用時刻や合計量を間違える原因にもなります。

また、心筋梗塞や脳梗塞の予防で処方されている低用量アスピリンは、目的が異なります。痛み止めを飲むために、抗血栓薬を自分で中止しないでください。

湿布・塗り薬・坐薬なら副作用は少ない?

局所用の湿布・ゲルは、内服より全身への影響を抑えやすい

局所の筋肉・関節の痛みでは、外用薬が候補になります。一般的な局所用NSAIDsは、内服に比べて血液中に入る量が少なく、全身への負担を抑えやすい特徴があります。ただし、皮膚のかぶれやアレルギーがあり、広い範囲に多量使用すれば吸収も増えます。ジクトルテープのように全身作用を目的とする製品もあるため、「貼る薬はすべて局所だけに効く」とは限りません。一般的な局所用湿布と区別する必要があります。6,20,25

ロキソニンテープもアスピリン喘息の方には禁忌です。妊娠中の注意も内服とは別に製品ごとの確認が必要です。飲み薬と湿布を両方使うときは、併用してよい製品と枚数を確認してください。6

モーラステープなどは、剥がした後の日光にも注意

ケトプロフェンを含む貼付剤では、紫外線によって強い皮膚炎が生じる光線過敏症に注意します。使用中だけでなく、使用後にも発症することがあるため、薬の説明に従って衣服などで遮光してください。赤み・かゆみ・水疱が出たら使用を中止し、患部を遮光して受診します。7

坐薬は胃を通らなくても、全身に作用する

ジクロフェナクなどのNSAIDs坐薬は、直腸から吸収されて全身に作用します。胃を直接通らないことは、胃潰瘍・腎障害・心不全のリスクがなくなることを意味しません。内服薬と坐薬の成分の重複にも注意が必要です。21,23

喘息・妊娠・高齢者・子どもでは選び方が変わります

喘息:以前に鎮痛薬で息苦しくなった方は必ず申告

一部の喘息患者さんでは、NSAIDsで鼻水、鼻づまり、喘鳴、呼吸困難などが起こります。いわゆるアスピリン喘息、NSAIDs過敏症です。喘息のある人全員が同じではありませんが、過去の発作歴が重要です。ロキソニン、ボルタレン、セレコックスや一部の湿布も、該当する方には禁忌です。1,4,5,6,7

アセトアミノフェンも無条件に安全ではありません。カロナールの電子添文では、アスピリン喘息またはその既往がある方に対する1回量は300mg以下とされます。これは300mg以下なら自己判断で安全に使えるという保証ではありません。医師と使用薬を決めてください。2

妊娠・授乳:市販薬や湿布も含めて確認

NSAIDsは胎児の腎機能や動脈管に影響するおそれがあります。妊娠後期に禁忌の製品が多く、妊娠中期なども自己判断で使用しないことが大切です。ボルタレン内服薬は妊婦または妊娠の可能性がある方に禁忌です。1,4,5,7

アセトアミノフェンも、妊娠週数、必要性、量、期間を確認して使用します。授乳中は薬ごとに判断が異なるため、一律に断乳するのではなく、使用薬と授乳について医師・薬剤師に相談してください。2

高齢者と子ども:成人の薬を分ければよいわけではない

高齢者では腎機能や栄養状態、転倒リスク、併用薬を踏まえます。子どもは年齢・体重に合う薬と量が必要です。市販のロキソニンSは15歳未満には使用できません。家族の処方薬を分けて飲ませないでください。8

頭痛薬を使う日が増えたら「薬剤の使用過多による頭痛」に注意

片頭痛などがある方では、頭痛薬を頻繁に使うことで、かえって頭痛が増える場合があります。薬剤の使用過多による頭痛(MOH)です。

診断では、もともとの頭痛疾患、月15日以上の頭痛、急性期治療薬の過剰な使用が3か月を超えて続いていることなどを確認します。服薬日数の目安は、単純なアセトアミノフェンやNSAIDsで月15日以上、複合鎮痛薬・トリプタンなどで月10日以上です。複数の薬を使う場合も合計日数の評価が必要です。16

これは「その日数までは安全」という境界ではありません。週に何度も必要、以前より回数が増えた、効かなくなってきた場合は、薬を増やす前に相談しましょう。頭痛があった日、薬を飲んだ日、月経や睡眠との関係を記録すると、予防治療を含めた見直しに役立ちます。

神経の痛みには別の薬を使うことがあります

帯状疱疹後の痛みや糖尿病に伴う神経障害などでは、神経の障害が痛みに関わります。ビリビリする、焼けるように痛む、軽く触れるだけで痛いなどの訴えがみられますが、症状の表現だけで診断はできません。

神経障害性疼痛では、プレガバリン(リリカ)やミロガバリン(タリージェ)などを検討します。神経の興奮に関わるカルシウムチャネルのα2δサブユニットに作用する薬で、一般的な解熱鎮痛薬と仕組みが異なります。眠気・めまい、むくみや体重増加、腎機能に応じた量の調整に注意し、これらの薬の服用中は自動車運転などの危険作業を避けます。自己判断で急にやめず、減量方法を確認してください。9,10

トラマドールは「強いから気軽に追加する薬」ではない

トラマドールはオピオイド受容体への作用などにより鎮痛効果を示します。一般的な鎮痛薬で対応しにくい痛みなどで検討しますが、吐き気、便秘、眠気、転倒、依存、けいれん、呼吸抑制に注意が必要です。抗うつ薬などとの併用ではセロトニン症候群、睡眠薬などとの併用では中枢神経抑制の増強にも注意します。運転はできません。11

痛みが続くときは、薬の追加だけでなく、原因治療、無理のない活動やリハビリテーション、睡眠の調整なども組み合わせて考えます。目標は「薬の量を増やすこと」ではなく、生活への支障を減らすことです。20

臨床研究でわかる痛み止めのリスクと、その限界

研究の数字は、対象となった患者さん、使用量、比較対象とセットで読む必要があります。以下の結果は、自分の発症確率をそのまま表す数字ではありません。

① 3種類の薬の組み合わせと急性腎障害

降圧薬使用者487,372人のデータを用いた観察研究では、利尿薬+ACE阻害薬またはARBにNSAIDsを加える3剤併用は、急性腎障害の発生率上昇と関連しました。調整後の率比は1.31(95%信頼区間1.12〜1.53)、開始後30日以内は1.82でした。12

読み取り:短期間の追加でも注意が必要なことを示唆します。ただし観察研究なので交絡が残り、「全員の腎機能が31%低下する」という意味ではありません。

② アセトアミノフェンと血圧:PATH-BP試験

高血圧のある110人を対象としたランダム化クロスオーバー試験では、アセトアミノフェン1日4gを2週間使用した際、プラセボと比べて日中の収縮期血圧が平均4.7mmHg(95%信頼区間2.9〜6.6)上昇しました。13

読み取り:高用量を定期的に使う場合は血圧にも配慮します。低用量の頓用や1〜2回の服用で、同じ上昇が起きると結論づけることはできません。この試験は心筋梗塞や脳卒中の増加を直接証明した試験でもありません。

③ セレコキシブの比較:PRECISION試験

心血管リスクのある関節炎患者24,081人を対象としたPRECISION試験の、割り付けられた群に基づく解析(ITT解析)では、心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中の複合評価項目は、セレコキシブ2.3%、ナプロキセン2.5%、イブプロフェン2.7%でした。平均追跡期間は約34か月、セレコキシブの平均1日量は約209mgでした。試験で用いられた用量のセレコキシブは、比較した2剤に対して心血管安全性の非劣性を満たしました。14

読み取り:非劣性は、あらかじめ定めた範囲を超えて劣らないことを検証する考え方です。「心臓病を予防する」「どの用量でも安全」という結果ではありません。プラセボやロキソプロフェンとの比較ではなく、中止・追跡脱落も解釈上の制約です。

④ NSAIDsと心不全による入院

欧州4か国の大規模観察研究では、183日より前のNSAIDs使用と比較して、直近14日以内の使用は心不全入院と関連し、調整オッズ比は1.19(95%信頼区間1.17〜1.22)でした。関連の程度は薬剤・用量で異なりました。15

読み取り:これは絶対リスクが19ポイント増えるという意味ではなく、薬剤ごとの差もあります。ロキソプロフェンそのもののリスクを、この数値で直接示すことはできません。

痛み止めを飲み続ける前に受診したい症状

119番を考える症状

  • 突然の激しい頭痛、片側の麻痺、ろれつが回らない
  • 突然の胸・背中の激痛、胸の圧迫感と冷や汗・呼吸困難
  • 意識が低下する、けいれん、強い呼吸困難、顔や舌の腫れ
  • 吐血・大量の血便、黒い便に失神や冷や汗を伴う

痛み止めが効くかを待たず、救急要請をしてください。18

早めに医療機関へ相談したい症状・状況

  • 痛みが続く・悪化する、薬がないと日常生活に支障がある
  • 痛み止めを使い始めてから、尿が減った・むくみや息切れが増えた
  • 胃痛、黒い便、繰り返す嘔吐、食事や水分が取れない
  • 発疹、皮膚や白目が黄色い、普段と違う強いだるさがある
  • クラビット服用中に腱の痛み・腫れ、繰り返す下痢などが出た
  • 市販のロキソニンSを1〜2回使っても改善しない

最後の項目はロキソニンSの製品説明に基づく目安です。処方薬を定期服用中の方は、処方時の指示に沿って相談してください。1,2,3,8

飲みすぎや成分の重複に気づいたときは、症状がなくても速やかに医療機関・薬剤師へ連絡してください。特にアセトアミノフェンの過量では、早い段階に症状が目立たなくても肝障害につながるおそれがあります。2

受診時に伝えると役立つ情報

  1. どこが、いつから、どのように痛むか。発熱・しびれ・息切れなどの有無
  2. 薬の名前、1回量、1日の回数、最後に飲んだ時刻、使った日数
  3. 市販薬、湿布、サプリメントを含む全使用薬
  4. 心不全、腎臓病、胃潰瘍、喘息、肝臓病、アレルギー、妊娠・授乳の情報
  5. 家庭血圧、体重変化、最近の採血結果があればその記録

お薬手帳に載っていない市販薬は、箱や成分表示の写真も役立ちます。

姫路市で痛み止めや飲み合わせが心配な方へ

えぷろんクリニックは、姫路市の内科・循環器内科・呼吸器内科として、症状の診察とともに、持病や処方内容を確認します。血圧管理、必要に応じた採血による腎機能・肝機能・貧血などの確認、動悸・胸痛などがある場合の心電図を含め、状況に合う評価を行います。24

痛みの原因によっては、整形外科、歯科、脳神経内科などの診療や、連携病院での精査が必要です。通院が難しく訪問診療を受けている方の痛みの管理も、生活や介護の状況を踏まえて相談します。

姫路市で痛み止めの使い方や飲み合わせにお悩みの方、生活習慣病や心臓の病気が心配な方は、えぷろんクリニックまでお気軽にご相談ください。症状や検査結果を確認しながら、必要に応じて適切な検査や専門医療機関との連携を行います。

WEB予約はこちら 内科の診療案内

救急症状がある場合は通常予約を待たず、119番をご利用ください。

痛み止めについてよくある質問

Q1. ロキソニンとカロナールは、どちらが強いですか?

単純な順位はつけられません。炎症を伴う痛みではNSAIDsを選ぶ場合がありますが、痛みの原因と用量によって効果は変わります。胃・腎臓・心臓・肝臓の状態も踏まえて選びます。

Q2. クラビットは痛み止めですか?ロキソニンと一緒に飲めますか?

クラビットは抗菌薬です。ロキソニンとの併用は、けいれんに関する「併用注意」です。一律の併用禁忌ではありませんが、自己判断で追加せず、処方医・薬剤師に確認してください。1,3

Q3. 胃薬を飲んでいれば、ロキソニンを毎日飲んでも大丈夫ですか?

胃薬で全身の副作用は予防できません。連用が必要な場合は、痛みの原因、用量・期間、血圧、腎機能、胃腸のリスクを定期的に見直します。19,21

Q4. 心不全や腎臓病があっても、市販の痛み止めを使えますか?

購入前に医師・薬剤師へ確認してください。市販のロキソニンSは、心臓病・腎臓病などで治療中の方は服用しないこととされています。代替薬も持病や用量を確認して選びます。8

Q5. 姫路市で、痛み止めの飲み合わせだけでも内科に相談できますか?

相談できます。痛み止め、市販薬、湿布を含む使用薬とお薬手帳をご持参ください。えぷろんクリニックでは持病や症状も確認し、必要な検査や専門診療につなげます。

本記事は主に成人向けの一般的な医療情報です。個別の処方や製品の使用説明に代わるものではありません。商品名は違いを説明するために記載しています。電子添文・資料の確認日:2026年11月3日。

参考文献・確認資料

本文中の数字から該当資料に移動できます。日本での使用可否は国内電子添文を優先し、海外研究は対象・用量・比較条件を明記しました。最終確認:2026年11月3日。

  1. PMDA.ロキソニン錠60mg/細粒10% 電子添文(2025年3月改訂)
  2. PMDA.カロナール錠200/300/500 電子添文(2026年8月改訂)
  3. PMDA.クラビット錠250mg/500mg/細粒10% 電子添文(2025年5月改訂)
  4. PMDA.セレコックス錠100mg/200mg 電子添文(2025年7月改訂)
  5. PMDA.ボルタレン錠25mg 電子添文(2024年10月改訂)
  6. PMDA.ロキソニンテープ50mg/100mg 電子添文(2025年3月改訂)
  7. PMDA.モーラステープ20mg 電子添文(2024年10月改訂)
  8. 第一三共ヘルスケア.ロキソニンS 製品情報・使用上の注意
  9. PMDA.リリカカプセル/OD錠 電子添文(2026年10月改訂)
  10. PMDA.タリージェ錠/OD錠 電子添文(2026年10月改訂)
  11. PMDA.トラマールOD錠25mg/50mg 電子添文(2024年6月改訂)
  12. Lapi F, et al. Concurrent use of diuretics, ACE inhibitors, and ARBs with NSAIDs and risk of acute kidney injury. BMJ. 2013;346:e8525. doi:10.1136/bmj.e8525
  13. MacIntyre IM, et al. Regular Acetaminophen Use and Blood Pressure in People With Hypertension: The PATH-BP Trial. Circulation. 2022;145:416–423. doi:10.1161/CIRCULATIONAHA.121.056015
  14. Nissen SE, et al. Cardiovascular Safety of Celecoxib, Naproxen, or Ibuprofen for Arthritis. N Engl J Med. 2016;375:2519–2529. doi:10.1056/NEJMoa1611593(PubMed抄録)
  15. Arfè A, et al. Non-steroidal anti-inflammatory drugs and risk of heart failure in four European countries. BMJ. 2016;354:i4857. doi:10.1136/bmj.i4857
  16. 日本頭痛学会.薬剤の使用過多による頭痛
  17. 厚生労働省.抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編(2026年1月16日発行):感冒・急性気道感染症
  18. 厚生労働省.こんな時は迷わず119へ(消防庁資料に基づく)
  19. 米国国立糖尿病・消化器病・腎疾病研究所(NIDDK).Keeping Kidneys Safe: Smart Choices about Medicines
  20. 米国腎臓財団(National Kidney Foundation).Pain Medicines and Kidney Disease
  21. 日本消化器病学会.Evidence-based clinical practice guidelines for peptic ulcer disease 2026. Journal of Gastroenterology. doi:10.1007/s00535-026-02504-3(NSAID潰瘍・抗血栓薬関連潰瘍の章)
  22. NIDDK.Symptoms & Causes of Peptic Ulcers
  23. DailyMed.Ibuprofen Tablets, USP:NSAIDsの心血管・消化管リスクに関する米国製品表示
  24. えぷろんクリニック公式サイト.診療科・診療内容・予約案内
  25. PMDA.ジクトルテープ75mg 電子添文(2026年7月改訂)

記事の先頭へ戻る ↑