からだの話と日常 / 高血圧・生活習慣病
「血圧が高いのは、年齢や塩分のせいだろう」「薬を飲んでいるので、ほかの検査は必要ない」——そう考えていませんか。
高血圧には、体質や生活習慣が重なって起こるもののほかに、腎臓やホルモン、睡眠、薬などに原因があるものもあります。特に、採血でカリウム(K)が低いと指摘された方は、血圧との関係を確認することが大切です。[3][4]
この記事でお伝えしたい3つのこと
- 高血圧とK低値が重なったら、原因を調べる手がかりになります。
- Kが正常でも、原発性アルドステロン症は否定できません。
- 処方薬だけでなく、漢方薬・市販薬・サプリメントも診察で伝えましょう。
高血圧は何mmHgから?家庭血圧も確認しましょう
高血圧は、血管の内側にかかる圧力が高い状態が続く病気です。症状がなくても、長く続くと脳卒中、心臓病、腎機能低下などのリスクが高まります。心臓が高い圧力に逆らって働き続けることは、心不全の一因にもなります。[1][9]
| 測る場所 | 高血圧の診断基準 | 一般的な降圧目標 |
|---|---|---|
| 診察室 | 上が140以上、 または下が90以上 | 上が130未満、 かつ下が80未満 |
| 自宅 | 上が135以上、 または下が85以上 | 上が125未満、 かつ下が75未満 |
単位はmmHg。診断は1回の測定だけでなく、複数回・複数日の結果をもとに行います。JSH2025の一般的な目標を示していますが、ふらつき、腎機能、体力や介護の必要性などに応じて調整します。妊娠中の高血圧は別の管理が必要です。[2][10]
家庭血圧は、朝と夜に同じ条件で
上腕に巻く血圧計を使い、椅子に座って1〜2分安静にしてから測ります。朝は起床後1時間以内・排尿後・朝食と服薬の前、夜は就寝前が基本です。腕を心臓の高さに置き、会話せず、原則2回測って記録してください。
目安は7日間、少なくとも5日間の記録です。朝と夜を分けて平均をみます。低い数値だけを選んで記録する必要はありません。病院では正常でも自宅で高い「仮面高血圧」や、その逆の「白衣高血圧」を見分ける助けになります。[11]
高血圧の原因を調べる「鑑別」とは
鑑別とは、考えられる原因を整理して、どれが当てはまるか確かめることです。
本態性高血圧は、遺伝的な体質、加齢、塩分のとり過ぎ、肥満、飲酒など、複数の要因が関わるタイプです。一方、特定の病気や薬などによって起こるものを二次性高血圧と呼びます。両方の要因が重なることもあります。家族に高血圧の方がいても、二次性高血圧を否定する理由にはなりません。[4][9]
| 原因 | 手がかりの例 | 主な確認方法 |
|---|---|---|
| 原発性アルドステロン症 | K低値、若い頃からの高血圧、薬で下がりにくい血圧。Kが正常の方もいます。 | アルドステロン・レニンの採血 |
| 腎臓の病気 (腎実質性高血圧) | 尿蛋白、血尿、腎機能低下など | 尿検査、クレアチニン・eGFR、必要に応じて画像検査 |
| 腎臓へ向かう血管の狭窄 (腎血管性高血圧) | 急な血圧悪化、治療に伴う腎機能の大きな変化など | 腎動脈エコー、CT・MRIなどを状況に応じて選択 |
| 睡眠時無呼吸症候群 | 大きないびき、睡眠中の呼吸停止、日中の眠気、朝や夜間の高血圧 | 睡眠中の呼吸を調べる検査 |
| 甲状腺の病気 | 動悸、体重の変化、暑がり・寒がりなど | 甲状腺ホルモンなどの採血 |
| クッシング症候群 | コルチゾールというホルモンの過剰。体型の変化、あざのできやすさ、筋力低下など | 症状に応じたホルモン検査 |
| 褐色細胞腫・パラガングリオーマ | 発作的な頭痛・動悸・発汗、血圧の大きな変動など | 関連するホルモン代謝産物の血液・尿検査など |
| 薬・漢方・健康食品など | 使用開始・増量後の血圧上昇。甘草ではK低下を伴うことも。 | 処方薬、市販薬、漢方、サプリメントの確認 |
症状がない場合もあり、この表だけでは診断できません。全員にすべての検査を行うわけではなく、問診と基本的な検査から必要な検査を選びます。[2][4][12]
高血圧でカリウム(K)が低いとき、なぜ注意が必要?
カリウムは、筋肉や神経、心臓の電気的な働きを支える電解質です。採血結果では「K」「カリウム」と表示されます。一般に3.5mEq/L未満は低カリウム血症の目安ですが、検査施設の基準や過去からの変化も確認します。
低下が強いと、手足に力が入らない、足がつる、動悸などが現れ、不整脈の原因になることもあります。症状がなくても、繰り返し低い場合は原因の確認が必要です。[7]
「野菜不足」と決めつけず、薬やホルモンも調べます
Kが下がる原因には、下痢や嘔吐、一部の利尿薬、ホルモンの異常などがあります。高血圧もあるときには、原発性アルドステロン症や、甘草などによる偽アルドステロン症を考えることが大切です。利尿薬を飲んでいる場合も、薬の影響だけで説明してよいか確認します。[5][7]
「カリウムを補えば終わり」ではなく、なぜ減ったのかを調べます。腎機能や薬によってはKが上がり過ぎる危険もあるため、サプリメントやカリウム入りの減塩塩を自己判断で追加しないでください。
こむら返りの漢方薬などにも注意
芍薬甘草湯など、一部の漢方薬には甘草(カンゾウ)が含まれています。その成分であるグリチルリチンなどの影響で、体内に塩分・水分がたまり、Kが尿へ出やすくなる「偽アルドステロン症」が起こることがあります。
血圧上昇、むくみ、脱力などが手がかりになります。使用中にこれらの症状が出たら、早めに処方元や薬剤師へ連絡してください。薬の名前や量、飲み始めた時期が分かるものをお持ちいただくと役立ちます。[7]
原発性アルドステロン症とは?Kが正常でも否定できません
腎臓の上には、ホルモンをつくる小さな臓器「副腎」があります。副腎から、塩分や水分の調節に関わるアルドステロンが必要以上に分泌される病気が、原発性アルドステロン症です。
低Kは発見の手がかりですが、Kが正常の患者さんも多くいます。「Kが正常だから、この病気ではない」とは判断できません。片側の副腎が主な原因の場合と、両側が関わる場合があり、治療方針が異なります。[3]
原発性アルドステロン症では、同程度の血圧の本態性高血圧と比べ、心房細動、心不全、脳卒中などの合併症が多いことが報告されています。原因に合った治療につなげるために、見つける意義があります。[5]
特に原因の検査を相談したい方
- 高血圧とK低値を指摘された方
- 40歳未満など、若い時期から高血圧がある方
- 複数の薬を使っても十分に血圧が下がらない方
- 副腎の腫瘍を指摘された方
- 睡眠時無呼吸がある方、若い時期に脳卒中を起こした方
これらに当てはまらなくても、検査を検討することがあります。国際的な2025年のガイドラインでは、高血圧の方を広く検査することが提案されています。ただし、医療体制などを踏まえた条件付きの推奨で、実際の進め方は医師と相談します。[5][6]
高血圧の原因を調べる検査は、どのように進める?
1.血圧の記録、経過、薬を確認します
いつから高いのか、急に上がったのか、家族歴、いびき、体重変化、服薬状況などを確認します。測定方法、飲み忘れ、薬の量、塩分の影響でも血圧が下がりにくくなるため、まず整理します。必要に応じて、24時間血圧測定などを検討します。
2.採血・尿検査・心電図で全体をみます
K・ナトリウム、腎機能、血糖・HbA1c、脂質、尿蛋白などを確認します。心電図で不整脈や心臓への負担を調べ、症状や診察所見に応じて心エコーなどを追加します。原因の検索と、心臓・腎臓などへの影響の評価を並行して進めます。[2][13]
3.疑う原因に応じて、ホルモンや睡眠の検査を追加します
原発性アルドステロン症では、採血でアルドステロンとレニンを測ります。レニンは、腎臓から出る血圧調節に関わる物質です。両者の比率「ARR」だけでなく、それぞれの値も合わせて判断します。[3]
低Kのままだとアルドステロンが低く測定され、病気が見つかりにくいことがあります。降圧薬も結果に影響するため、Kを補正したり、条件を整えて再検査したりします。検査のために薬を自己判断で中止しないでください。[6]
4.精密検査や治療の選択は専門医療機関と連携します
原発性アルドステロン症が疑われる場合、必要に応じてホルモンの反応を見る検査や副腎CTを行います。CTでしこりが見えても、それだけでホルモンを出す側は決められません。しこりが見えなくても、病気を否定できません。
手術を検討する場合は、左右の副腎からのホルモン分泌を比較する「副腎静脈サンプリング」が必要になることがあります。全員に同じ精密検査を行うわけではなく、検査結果や希望する治療に応じて判断します。[5]
高血圧の治療は、生活習慣と原因の両方から
原因の検査と並行して、必要な血圧治療を行います。検査がすべて終わるまで、高い血圧を放置するという意味ではありません。
- 減塩:高血圧では食塩1日6g未満を目標に、汁物の汁や麺類のスープ、加工食品、調味料の量を見直します。
- 体重・運動・飲酒:体力に合った運動、肥満がある場合の無理のない減量、飲酒量の見直しを続けます。
- 禁煙と睡眠:禁煙は心血管病の予防につながります。いびきや無呼吸は、睡眠時間を増やすだけでは改善しないことがあります。
血圧や合併症に応じて降圧薬を使います。生活習慣を改善しても薬が必要なことはあり、薬を複数使うこと自体が「失敗」というわけではありません。[1][9]
原発性アルドステロン症では、アルドステロンの働きを抑えるミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)などを使い、片側性で適応があれば手術を検討します。治療中は血圧だけでなくKや腎機能も確認します。手術でホルモンの異常が改善しても、降圧薬が必要な方はいます。[3][6]
こんな高血圧・K低値は、早めに医療機関へ
- 家庭血圧で、上が135以上または下が85以上の日が続く
- 血圧が以前より急に高くなった、薬を飲んでも高い
- 採血でK低値や腎機能低下、尿検査で異常を指摘された
- いびき、睡眠中の呼吸停止、繰り返す動悸がある
- 若い時期から高血圧がある
家庭血圧の記録、健診・採血結果、お薬手帳をお持ちください。市販薬や漢方は、箱や写真でも役立ちます。
胸痛・強い息苦しさ・麻痺などがある場合は119へ
突然の強い胸や背中の痛み、安静でも強い息苦しさ、片側の手足に力が入らない、ろれつが回らない、意識がおかしい、突然の激しい頭痛は、血圧の数値にかかわらず救急対応が必要です。血圧を何度も測って様子を見ず、119番に連絡してください。
症状がなくても、上が180以上または下が120以上の場合、安静にして測り直し、それでも高ければ当日中に医療機関へ連絡してください。医師の指示なく降圧薬を追加し、急に下げようとしないでください。[8]
低Kを指摘されていて、強い脱力、続く動悸、失神などがある場合も、速やかな受診が必要です。意識障害や呼吸困難などを伴う場合は救急車を要請してください。[7]
姫路市で高血圧の原因が気になる方へ
えぷろんクリニックは、姫路市飾磨区の内科・循環器内科・呼吸器内科です。循環器専門医と呼吸器専門医が在籍し、血圧管理に加え、生活習慣病、心臓や呼吸の症状をご相談いただけます。[14]
家庭血圧や健診結果を確認し、診察、採血、心電図などを通して必要な評価を進めます。睡眠時無呼吸症候群についてもご相談ください。二次性高血圧が疑われ、専門的な検査・治療が必要な場合は、地域の医療機関と連携します。
姫路市で高血圧やカリウム低値にお悩みの方は、えぷろんクリニックへご相談ください。生活習慣病や心臓の病気が心配な方も、症状や検査結果を確認しながら、必要に応じて適切な検査や専門医療機関との連携を行います。
兵庫県姫路市飾磨区三宅1丁目192 田中興産ビル1階
電話:079-226-3003 / 緊急症状がある場合は予約を待たず救急へ。
高血圧とカリウムについて、よくある質問
Q1.カリウムが正常なら、原発性アルドステロン症ではないですか?
いいえ。Kが正常の患者さんも多く、正常値だけでは否定できません。血圧の経過や薬、年齢などをみて、必要に応じてアルドステロンとレニンを調べます。
Q2.高血圧でカリウムが低いと、必ず副腎の病気ですか?
必ずではありません。一部の利尿薬、甘草を含む漢方、下痢や嘔吐などでも低下します。高血圧との組み合わせを手がかりに、原因を調べます。
Q3.血圧の薬を飲んでいても、原因の検査はできますか?
検査を進められる場合があります。ただし薬が結果に影響するため、医師が内服内容を踏まえて判断し、必要なら再検査します。自己判断で薬を止めないでください。
Q4.減塩しているのに血圧が高いのはなぜですか?
体質、体重、飲酒、測定方法、薬の量など複数の要因が考えられます。睡眠時無呼吸、腎臓やホルモンの病気などが関わる場合もあるため、家庭血圧と薬の記録をもとに相談しましょう。
Q5.姫路市で、高血圧と健診のK低値を一緒に相談できますか?
内科・循環器内科などで相談できます。えぷろんクリニックでも、血圧や検査結果を確認し、必要な検査・専門医療機関への紹介を検討します。健診結果とお薬手帳をお持ちください。
参考資料
資料確認日:2026年10月3日。以下の資料をもとに、患者さん向けに説明しています。図表は内容を整理した独自作成で、原典の図表の転載ではありません。
- 日本高血圧学会「高血圧の10のファクト」。降圧目標、生活習慣、治療の意義。
- 日本高血圧学会「The Japanese Society of Hypertension Guidelines for the management of elevated blood pressure and hypertension 2025 (JSH2025)」。診断基準、家庭血圧目標、原因・臓器障害の評価。
- 日本内分泌学会「原発性アルドステロン症」一般向け解説、2026年9月8日更新。機序、正常K例、検査・治療。
- 日本内分泌学会「二次性高血圧症(腎血管性高血圧を含む)」。腎性・内分泌性・薬剤性の鑑別。
- 日本内分泌学会「原発性アルドステロン症診療ガイドライン2021(簡略版)」。検査対象、心血管リスク、画像・副腎静脈サンプリング。
- Endocrine Society「Primary Aldosteronism: Clinical Practice Guideline」、2025年。広いスクリーニングの条件付き推奨、低K・内服薬による検査への影響、治療中の評価。
- 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」、2022年2月改定。甘草、症状、低Kの評価・鑑別。
- American Heart Association「When To Call 911 About High Blood Pressure」、2025年8月14日見直し。著明な高血圧と緊急症状。救急番号は日本の119に置き換えています。
- 国立循環器病研究センター「高血圧」。基本的な病態、心臓への負担、生活習慣。降圧目標はJSH2025を参照。
- 日本高血圧学会・日本老年医学会「要介護高齢者における降圧療法の適正化に関する実践的指針」、2025年11月25日。転倒や生活の質を踏まえた個別化。
- 日本高血圧学会「一般向け『高血圧治療ガイドライン2019』解説冊子」の家庭血圧測定方法、およびJSH2025。目標値は現行のJSH2025を採用。
- 日本内分泌学会「褐色細胞腫」。症状と検査。
- 国立循環器病研究センター 腎臓・高血圧内科「対象疾患・治療法」。原因疾患に応じた検査。
- えぷろんクリニック「公式サイト」「当院について」「高血圧診療」。医院情報・診療内容・医師資格。