えぷろんクリニック · からだの話と日常

糖尿病の薬と、
血糖の「見える化」。

薬の種類・作用機序と持続血糖測定器(CGM)を図解

情報確認日:2026年10月3日

糖尿病の薬について医療者と相談するイメージ
薬を知ることは、ご自身の治療を理解する第一歩です。

「糖尿病の薬は何が違うの?」「腕につける測定器で何が分かるの?」。姫路市飾磨区のえぷろんクリニックが、薬の種類と働き、持続血糖測定器(CGM)を図で解説します。

糖尿病の薬は、なぜ種類が多いの?

インスリンは膵臓から出て、糖の細胞への取り込みや、肝臓での糖の産生を調節します。2型糖尿病では「分泌が足りない」「効きにくい」などの違いに合わせて薬を選びます。[1]

主に2型糖尿病の治療薬を紹介します。1型糖尿病など、インスリンの補充が欠かせない病態もあります。[3]

糖尿病薬が肝臓、筋肉・脂肪、膵臓、小腸、腎臓などに働く6つの役割
図1|主な作用部位を整理した模式図。複数の場所に働く薬もあります。 図をタップで拡大

糖尿病の飲み薬:主な種類と作用機序

主な飲み薬(GLP-1受容体作動薬は次の項へ)
種類・代表的な成分主な作用機序(働き方)特徴・注意点
ビグアナイド薬メトホルミン主に肝臓で糖を作る働きを抑える。下痢など。腎機能低下・脱水時は乳酸アシドーシスに注意。
DPP-4阻害薬シタグリプチンなどGLP-1・GIPの分解を抑え、血糖に応じたインスリン分泌を助ける。便秘など。SU薬・インスリンとの併用で低血糖に注意。
SGLT2阻害薬ダパグリフロジンなど腎臓で糖を血液に戻す働きを抑え、尿に糖を出す。脱水、性器・尿路感染症、ケトアシドーシス。
α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI薬)ボグリボースなど小腸で糖質の分解を遅らせ、吸収をゆっくりにする。お腹の張り・下痢。低血糖時は砂糖ではなくブドウ糖を。
SU薬グリメピリドなど膵臓を刺激してインスリンを出す。低血糖・体重増加。食事が取れないときは特に注意。
グリニド薬レパグリニドなど短時間インスリン分泌を促し、食後の上昇を抑える。低血糖。食事の直前に飲む薬。
チアゾリジン薬ピオグリタゾン筋肉・脂肪などでインスリンを効きやすくする。むくみ・体重増加。心不全またはその既往がある方は使用不可。
グリミン系薬イメグリミンインスリンの分泌と効きやすさの両方を改善する。吐き気・下痢など。腎機能に応じた確認が必要。

併用や、複数成分を1錠にした「配合薬」もあります。表はすべての副作用を示すものではありません。[2],[5]

イメグリミンは、細胞内のエネルギー代謝に関わる「ミトコンドリア」への作用を介して働くと考えられています。[4]

GLP-1関連薬とインスリンは、どう違う?

DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬、インスリンの違い
図2|ホルモンの働きを助ける薬と、インスリンを補う薬の違い。 図をタップで拡大
GLP-1関連薬・インスリンの主な分類
種類・代表的な成分主な作用機序(働き方)特徴・注意点
GLP-1受容体作動薬セマグルチドなどGLP-1の受容体に作用し、血糖に応じたインスリン分泌を促す。飲み薬と注射薬がある。吐き気・下痢などに注意。
GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド2つの受容体に作用し、血糖に応じたインスリン分泌などを助ける。週1回の注射。吐き気・食欲低下などに注意。
インスリン製剤超速効型・持効型など不足するインスリンそのものを補う。食事に合わせるもの、基礎分泌を補うものなど。低血糖に注意。

GLP-1関連薬は、血糖を上げるホルモン「グルカゴン」を抑え、食欲や胃からの食べ物の移動にも作用します。GLP-1受容体作動薬には飲み薬もあり、注射薬がすべてインスリンというわけではありません。[2],[3]

薬選びでは、心臓・腎臓の状態も大切です

HbA1cだけでなく、年齢、体重、腎機能、低血糖の起こりやすさ、心不全などの合併症、費用・生活に合うかを考えます。一部のSGLT2阻害薬は心不全や慢性腎臓病の治療にも使われますが、適応は薬と病状で異なります。[5]

インスリン、SU薬、グリニド薬は特に低血糖に注意が必要です。単独では低血糖が比較的少ない薬も、組み合わせや食事量によってリスクが変わります。[2],[3]

持続血糖測定器(CGM)で何が分かる?

上腕のセンサーとスマートフォンを使う生活のイメージ
CGMは日常生活の中でグルコースの変動を記録します。装着部位は機種に従います。

皮膚の下の糖を、連続して記録します

CGMは「持続グルコースモニタリング」のこと。皮膚に装着したセンサーで、細胞のまわりの間質液中の糖を測ります。血液を直接測る機器ではなく、血糖の急な変化に対して時間差が生じることがあります。[6],[10]

センサーは血管の中ではなく皮膚の下の間質液の糖を測定する模式図
図3|CGMは間質液中の糖を測定します。血液中の糖と時間差が生じます。 図をタップで拡大

HbA1cだけでは分からない、1日の変動を確認

HbA1cは最近1〜2か月の平均的な血糖状態を反映します。一方、CGMでは食後の上昇や夜間の低下、上がり下がりの傾向を確認できます。食事・運動・薬の記録と合わせて治療を見直す手がかりにします。[6],[7]

架空のグルコース変動を用いたCGMの線と指先測定の点の比較
図4|説明用の架空データです。患者さんの実測値や治療効果を示すものではありません。 図をタップで拡大

目標範囲内の時間の割合が「TIR」です。多くの成人の糖尿病では70〜180 mg/dLが範囲の目安ですが、妊娠中などは異なります。低い時間がないかも確認します。[7]

指先測定が必要な場面と、機種による違い

症状と数値が合わない、低血糖が疑われる、値が不確かな場合は、説明書や医療者の指示に従い指先測定で確認します。低血糖症状があるときは対応を遅らせないでください。[6],[10]

自動送信や読み取り操作など、使い方はセンサーと表示端末で異なります。装着期間、アラート、対応スマートフォンも確認します。皮膚のかぶれにも注意が必要です。[6],[10]

CGMは診断や治療を助ける道具です。CGMの値だけで糖尿病を診断したり、薬を自己判断で増減したりはしません。医師と事前に決めた調整方法がある場合は、その指示に従ってください。

低血糖・体調不良時に気をつけたいこと

冷汗・手の震え・動悸などがあるとき

低血糖の可能性があります。意識がはっきりして飲み込める場合はブドウ糖10gを取り、15分後に症状と血糖を再確認します。可能なら指先測定も使います。改善しなければ再度摂取し、続く場合は医療機関へ。α-GI薬を飲んでいる方も、ブドウ糖を使います。[8]

意識がはっきりしない・けいれんがあるときは119番。無理に飲食させないでください。[8]

発熱・嘔吐・下痢・食事が取れない日は「シックデイ」です。SGLT2阻害薬やメトホルミンは原則休薬が必要になるため、あらかじめ決めた対応に従い、当日中に医療機関へ相談してください。基礎インスリンは自己判断で中断しないでください。[9]

こんなときは受診・相談を

  • 健診で血糖・HbA1cの異常を指摘された
  • のどの渇き、尿の増加、意図しない体重減少がある
  • 低血糖を繰り返す、薬の副作用が心配
  • 水分が取れない、嘔吐が続く、強い腹痛や息苦しさがある:早めに医療機関へ。原則、当日中に受診してください。

SGLT2阻害薬の使用中は、血糖がそれほど高くなくてもケトアシドーシスという重い状態になることがあります。強い腹痛・嘔吐・息苦しさは、血糖値だけで様子を見ないでください。[5]

姫路市で糖尿病の薬・CGMについて相談したい方へ

測定記録とお薬手帳を見ながら治療を相談するイメージ
記録と体調を一緒に振り返り、治療を考えます。人物は説明用のイメージです。

当院では糖尿病の診察・採血、インスリン治療の継続管理、CGMを用いた血糖管理に対応します。血圧・脂質・腎機能も確認し、必要時は心電図検査や専門医療機関への紹介を行います。

姫路市で糖尿病の薬や血糖管理にお悩みの方、生活習慣病や心臓の病気が心配な方は、えぷろんクリニックまでお気軽にご相談ください。症状や検査結果を確認しながら、必要に応じて適切な検査や専門医療機関との連携を行います。

糖尿病の薬・CGMについてよくある質問

Q.糖尿病の薬を始めたら、一生やめられませんか?

2型糖尿病では状態の改善に伴い減量・中止できる場合もあります。ただし、1型糖尿病などインスリン補充が必要な方もいます。自己判断でやめず主治医と相談してください。

Q.注射薬は、すべてインスリンですか?

いいえ。GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬は、インスリンとは異なる薬です。注射になったことだけで病状の重さは判断できません。

Q.リブレなどのCGMを使えば、指先の血糖測定は不要ですか?

必要になる場面があります。症状と数値が合わない、低血糖が疑われる、測定値が不確かといった場合は、機種の説明書と医療者の指示に従い指先測定で確認します。

Q.持続血糖測定器は誰でも保険で使えますか?

全員が保険の対象になるわけではありません。インスリン治療の有無、機種、算定区分などで条件が異なります。対象になるかと自己負担額は診察時に確認します。

Q.姫路市で糖尿病の薬やCGMについて相談できますか?

えぷろんクリニックでは、糖尿病の診療、インスリン治療の継続管理、CGMを用いた血糖管理に対応しています。お薬手帳、検査結果、測定記録をご持参ください。

参考資料

  1. 糖尿病情報センター「薬で血糖値が下がるしくみ」
  2. 糖尿病情報センター「血糖値を下げる飲み薬」
  3. 糖尿病情報センター「血糖値を下げる注射薬」
  4. PMDA「ツイミーグ錠500mg 電子添文」
  5. 日本糖尿病学会「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(第2版)」
  6. 日本糖尿病学会「持続グルコースモニタリングデバイス適正使用指針」2026年4月1日改訂
  7. 日本糖尿病学会「先進医療機器により得られる新たな血糖関連指標に関するコンセンサスステートメント」
  8. 糖尿病情報センター「低血糖」
  9. 糖尿病情報センター「シックデイ」
  10. アボット「FreeStyleリブレ よくあるご質問」

薬や機器の選択・使用方法は、病状と最新の添付文書・制度に基づいて判断します。イラストは説明用で、実際のスタッフ・患者さん・特定の製品を示すものではありません。