健診で心電図異常を指摘されたら

健康診断で「心電図異常があります」「要再検査です」と書かれていると、不安になる方は多いと思います。

心電図異常といっても、すぐに治療が必要なものばかりではありません。体型や年齢によってみられる変化、経過観察でよいことが多い所見もあります。一方で、不整脈、狭心症、心筋梗塞の既往、心筋症、心不全などが隠れていることもあります。

日本人間ドック・予防医療学会でも、心電図検査では不整脈、狭心症、心筋梗塞などを確認する検査であると説明されています。また、所見によっては正常者でもみられるものから、精密検査が必要なものまで幅があります。

心電図異常とは?

心電図は、心臓の電気的な活動を体の表面から記録する検査です。心臓は電気信号によって規則正しく動いており、その流れに乱れがないかを確認します。

心電図では、主に以下のようなことが分かります。

・脈が速すぎないか、遅すぎないか
・不整脈がないか
・心臓に負担がかかっていないか
・狭心症や心筋梗塞を疑う変化がないか
・過去の心筋梗塞を疑う所見がないか
・心臓の筋肉が厚くなっていないか

ただし、心電図だけですべての心臓病が分かるわけではありません。症状、血液検査、心エコー、必要に応じた追加検査を組み合わせて判断することが大切です。

よくある心電図異常

健診で指摘されやすい心電図異常には、次のようなものがあります。

・期外収縮
・心房細動
・洞性徐脈
・洞性頻脈
・右脚ブロック
・左室肥大
・ST-T変化
・異常Q波
・R波増高不良
・房室ブロック

これらは、すぐに危険という意味ではありません。たとえば、不完全右脚ブロックや一部のR波増高不良などは、健康な方でもみられることがあります。一方で、心房細動、症状を伴う徐脈、ST-T変化、異常Q波、左室肥大などは、背景に心臓の病気がないか確認した方がよい場合があります。

特に注意したい心電図異常

特に注意したいのは、心房細動です。

心房細動は、不整脈の一つで、脈が不規則になる病気です。動悸や息切れを感じる方もいますが、症状がほとんどなく、健診で初めて見つかることもあります。

心房細動で問題になるのは、脳梗塞と心不全です。日本循環器協会も、心房細動は動悸だけでなく、脳梗塞や心不全につながる不整脈であり、健診で指摘された場合は循環器内科に相談することを勧めています。

「症状がないから大丈夫」とは言い切れません。心房細動を指摘された場合は、一度は循環器内科で評価を受けることをおすすめします。

このような場合は早めにご相談ください

健診で心電図異常を指摘された方で、次のような場合は早めの相談をおすすめします。

・動悸がある
・脈が飛ぶ、乱れる感じがある
・息切れしやすい
・胸の痛みや圧迫感がある
・めまいやふらつきがある
・失神したことがある
・健診で心房細動を指摘された
・心電図異常を毎年指摘されている
・高血圧、糖尿病、脂質異常症がある
・家族に心臓病の方がいる

特に、胸痛、冷汗、強い息苦しさ、意識が遠のく感じがある場合は、クリニック受診を待たずに119番へ連絡してください。

当院で行う評価

えぷろんクリニックでは、健診結果の心電図を確認したうえで、症状や既往歴、内服薬、血圧、生活習慣などを含めて総合的に評価します。

必要に応じて、以下の検査を行います。

・心電図
・血液検査
・胸部レントゲン
・心エコー
・24時間心電図
・血圧評価
・生活習慣病の評価

心電図異常の背景に、心不全、不整脈、狭心症、心筋症、弁膜症、高血圧による心臓への負担などが隠れていないかを確認します。

心電図異常を放置しないために

心電図異常は、すぐに治療が必要なものばかりではありません。しかし、心臓からの重要なサインであることもあります。

特に、高血圧、糖尿病、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群、喫煙歴がある方では、心臓や血管の病気のリスクが高くなります。健診で心電図異常を指摘された時点で一度評価しておくことは、心筋梗塞、心不全、脳梗塞を防ぐうえでも大切です。

えぷろんクリニックでは、循環器内科の視点から、健診異常を単なる「再検査」で終わらせず、将来の心臓病予防まで見据えて診療します。

心電図の結果を受診につなげるには

健診の心電図は、短い時間の心臓の電気活動を記録します。「異常」という言葉だけで重症度を決めず、所見の種類と過去の記録、症状を合わせて確認します。

確認すること意味・役割注意点
12誘導心電図脈の速さ・規則性や電気の伝わり方を確認します。発作性の不整脈は、症状のない時には記録されないことがあります。
ホルター・長時間の記録日常生活で症状が出た時の心電図を照合します。検査中に発作がなければ原因を捉えられない場合があり、記録期間は症状の頻度に合わせます。
心エコー・採血など心臓の構造や機能、背景にある病気を調べます。心電図と役割が異なり、全員に同じ追加検査が必要なわけではありません。

受診時は健診結果の用紙だけでなく、可能なら心電図の記録そのもの、過去の結果、お薬手帳をお持ちください。動悸がある場合は日時・持続時間・その時の行動をメモします。強い持続胸痛、突然の息苦しさ、意識が戻らない状態は、結果の再確認や予約を待たず119番へ連絡してください。

参考資料