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心臓弁膜症ってどんな病気?
― 心臓の「ドア」のおはなし ―
「弁膜症と言われたけれど、何がどう悪いのかよく分からない」
そんな患者さんの声をよく耳にします。今回は、心臓の中にある“ドア”のはたらきから、検査・治療までをやさしく解説します。
01心臓弁膜症って何?
心臓は、全身に血液を送り出す“ポンプ”です。その内部には4つの「弁(べん)」があり、血液が一方向にだけ流れるようコントロールしています。例えるなら、家のドアのようなもの。必要なときに開き、しっかり閉じることで、血液の逆流を防いでいます。
この弁がうまく開かなくなったり、しっかり閉じなくなったりする病気を、まとめて「心臓弁膜症」と呼びます。
弁膜症とは、ひとことで言えば 「心臓のドアの調子が悪くなる病気」。ドアが開きにくくなる場合と、ぴったり閉まらず逆流が起こる場合の、2つのタイプがあります。
02弁膜症の種類 ― 「狭窄」と「逆流」
弁の異常は、大きく分けると次の2タイプです。
どの弁にもこの2タイプの異常が起こりえます。なかでも患者さんが多いのは、次の4つです。
03なぜ弁が悪くなるの?
原因はひとつではなく、いくつかの要因が重なって起こります。日本で多いものは次の通りです。
加齢による変化(動脈硬化性)
長年使い続けた弁に カルシウム(石灰)が沈着して硬くなることで起こります。高齢化が進む現代の日本で、最も多い原因です。
生まれつきの弁の形の違い
本来3枚の葉でできているはずの弁が、生まれつき2枚しかない方(二尖弁)などがあります。若いうちから弁膜症が出やすいタイプです。
心臓そのものの病気の影響
心筋梗塞や心臓の拡大によって、弁を支える組織が引き伸ばされ、結果として弁が閉まらなくなることもあります。
そのほかの原因
かつて多かったリウマチ熱の後遺症や、感染症による弁の障害(感染性心内膜炎)なども原因となります。
04こんな症状はありませんか?
弁膜症は、進行が ゆっくり です。「年のせいかな」と見過ごされやすく、気づいたときには進んでいることも珍しくありません。
これらの症状は、日常生活のなかで 「年のせい」「運動不足のせい」と片付けられがちです。少し気になる程度でも、ご家族に「最近疲れやすそう」と言われた経験があれば、一度ご相談ください。
05どんな検査をするの?
弁膜症の診断と程度の評価には、いくつかの検査を組み合わせます。どれも痛みのない検査がほとんどです。
聴診
診察の第一歩。弁膜症があると「心雑音」と呼ばれる音が聞こえます。
心電図
心臓のリズムや負担がかかっていないかを確認します。短時間で終わります。
胸部レントゲン
心臓の大きさや、肺に水がたまっていないかを見ます。
心エコー図検査
★最も大切
超音波で弁の動きや逆流を直接観察できる、弁膜症診断の中心となる検査です。
血液検査
心臓への負担を示す数値(BNPなど)を調べます。
CT・MRI・カテーテル検査
治療方針を決めるために、必要に応じて行う精密検査です。
なかでも 心エコー図検査 は、弁膜症の診断に最も大切な検査です。当院でも院内で実施しており、私自身が検査と評価を行っています。
06治療の選択肢
治療は、弁膜症の 種類・重症度・症状の有無・年齢・全身の状態 などを総合して決めます。大きく分けると、次の3段階です。
| ① 経過観察 | 症状がなく、軽症〜中等症の場合。半年〜1年ごとの心エコー図でフォローします。 |
|---|---|
| ② お薬による治療 | 心不全症状を和らげる、血圧をコントロールする、不整脈を抑える、といった目的で使います。お薬で弁そのものを治すことはできません。 |
| ③ 弁を治す治療 | 重症の場合。外科手術(弁を取り換える・修復する)と、カテーテル治療(足の付け根などから細い管を通して治療)の2つがあります。 |
カテーテル治療という選択肢
近年、ご高齢の方や手術リスクの高い方にも行えるよう発展してきたのが、カテーテル治療です。
代表的なカテーテル治療には、次のようなものがあります。
- TAVI(タビ):大動脈弁狭窄症に対して、新しい人工弁を留置する治療
- MitraClip(マイトラクリップ):僧帽弁逆流症に対して、弁をクリップでつまむ治療
- TriClip(トライクリップ):三尖弁逆流症に対して、同じくクリップで治す治療
どの治療がよいかは、お一人おひとりで異なります。心エコーや必要な検査の結果をもとに、専門的な判断が必要です。
07最後に ― 早めの相談を
弁膜症は、ゆっくり進む病気です。だからこそ、早く見つけて、早く適切な対処をすることが、長く元気に過ごす鍵になります。
「健診で心雑音を指摘された」「最近、息切れが気になる」「すでに弁膜症と言われているけれど、しばらく病院から離れている」――そんな方は、お気軽にご相談ください。心エコー図検査を含めた総合的な評価をいたします。
えぷろんクリニックのご案内
当院について
えぷろんクリニックは、姫路市飾磨区にある循環器内科・呼吸器内科・内科のクリニックです。これまで地域に親しまれてきた「田中クリニック」の理念を引き継ぎ、2025年12月より新たな名前で診療を続けています。
- 循環器専門医と呼吸器専門医の両方が在籍し、息切れや動悸の原因を総合的に診断します
- 院内に心エコー図・心電図・血液検査・呼吸機能検査などを備え、必要な初期検査を当日に行えます
- 兵庫県立はりま姫路総合医療センター・姫路医療センターなどと連携し、入院・手術が必要な場合もスムーズにご紹介します
- 院長は兵庫県立はりま姫路総合医療センターでも診療を行っており、心不全外来・地域連携にも携わっています
- 在宅酸素・人工呼吸器対応や終末期ケアを通じて、ご自宅での療養も支えています
診療理念
「心に寄り添い、信頼される医療の提供」
医学的根拠に基づいた正確な医療を提供しつつ、患者さまとの信頼関係を大切にした診療を行っています。患者さまと丁寧に向き合い、納得いただける治療方針を共に考え、地域の皆さまにとって 「いつでも相談できる、安心できる存在」 となれるよう努めています。