健診で血糖値・HbA1cを指摘されたら、症状がなくても確認を。
症状の有無だけで判断せず、健診結果を持って相談します。
血糖に加え、血圧・脂質・腎機能なども確認します。
生活と体調に合う治療を、医師と相談して考えます。
えぷろんクリニックの健康コラム
糖尿病は「昔から人を悩ませてきた病気」|アリが教えた糖尿病と、現代の予防の話
糖尿病と聞くと、「血糖値が高い病気」「甘いものを食べすぎるとなる病気」といったイメージを持つ方が多いかもしれません。
糖尿病は、甘いものの食べすぎだけで起こる病気ではありません。1型糖尿病と2型糖尿病では背景が異なり、2型でも体質や遺伝、年齢など複数の要因が関係します。ご自身を責める必要はありません。[1]
しかし、糖尿病は単なる“血糖値の病気”ではありません。長く続くと、目、腎臓、神経だけでなく、心筋梗塞、脳梗塞、心不全など、心臓や血管の病気にも関係します。
循環器内科では、糖尿病を心臓や血管の病気のリスクも含めて診ます。血糖値だけでなく、血圧、脂質、腎臓の状態を一緒に確認することが大切です。
今回は少し視点を変えて、糖尿病にまつわる歴史的なエピソードを紹介しながら、なぜ早めの検査と管理が大切なのかをお伝えします。

アリが教えた糖尿病?古代から知られていた「甘い尿」
糖尿病の歴史には、少し驚くような話があります。
古代インドでは、糖尿病に相当する病気が「蜂蜜のような尿」と表現され、尿にアリが集まることが病気の手がかりになったとされています。 現代のように血液検査も尿検査の試験紙もない時代に、医師たちは日常の観察から病気を見つけようとしていたのです。 [6]
豆知識:
「糖尿病」という名前は、尿に糖が出ることに由来します。現在は尿だけで診断するのではなく、血糖値やHbA1cなどの検査で総合的に判断します。
もちろん、現在では「尿にアリが来るかどうか」で糖尿病を判断することはありません。 血糖値、HbA1c、尿糖、尿蛋白、腎機能などを確認し、必要に応じて治療方針を考えます。
この歴史を今の診療につなげるなら、症状の有無だけでなく、健診や検査の結果に目を向けることが大切です。自覚症状がなくても、血糖値やHbA1cの異常を指摘されたら確認しましょう。
14歳の少年が変えた糖尿病治療の歴史
もうひとつ有名な話が、インスリンの歴史です。
1922年1月11日、カナダで14歳の少年レナード・トンプソンさんが、糖尿病治療として初めて膵臓の抽出物の注射を受けました。当時、特に1型糖尿病は命に関わる病気でしたが、インスリンの登場によって糖尿病治療は大きく変わりました。
最初の投与では十分な効果が得られず、注射部位に問題も起こりました。その後、精製が改良され、1月23日の投与で大きな改善が確認されました。この出来事は、糖尿病治療の歴史において非常に大きな転換点となりました。[5]
この話で大切なのは、「医学は一度で完成するものではない」という点です。 失敗や改良を重ねながら、治療は少しずつ良くなってきました。
現在では、糖尿病の治療薬も大きく進歩しています。 食事療法、運動療法に加えて、内服薬、注射薬、インスリンなど、患者さんの状態に合わせた治療選択肢があります。
ただし、どれだけ薬が進歩しても、治療の基本は「自分の体の状態を知ること」です。 健診で血糖値やHbA1cを指摘された場合は、放置せずに一度医療機関で確認することが大切です。
糖尿病は「痛くない」からこそ放置されやすい
糖尿病の難しいところは、初期には自覚症状が乏しいことです。
血糖値が高くても、すぐに痛みが出るわけではありません。 そのため、健診で「血糖値が高い」「HbA1cが高い」と言われても、忙しさを理由にそのままにしてしまう方が少なくありません。
しかし、高血糖が長く続くと、血管に負担がかかります。 糖尿病は、腎臓病、網膜症、神経障害だけでなく、動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳梗塞、心不全のリスクにも関わります。
つまり、糖尿病は「今つらいかどうか」だけで判断してはいけない病気です。 将来の合併症を防ぐために、早い段階から管理することが大切です。
健診で血糖値・HbA1cを指摘されたら
健診結果には、血糖値とHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)が載っていることがあります。血糖値は採血時の血液中の糖の濃度、HbA1cは一定期間の血糖状態を知る手がかりです。食事をした時間や体調も含めて確認します。
表は横にスクロールできます
| 検査 | 糖尿病型の基準 | 確認すること |
|---|---|---|
| 空腹時血糖値 | 126 mg/dL以上 | 食事を取っていない状態での採血 |
| 随時血糖値 | 200 mg/dL以上 | 採血前の食事時刻・症状も確認 |
| 75g糖負荷試験の2時間値 | 200 mg/dL以上 | 必要に応じて医療機関で行う検査 |
| HbA1c | 6.5%以上 | 血糖値と合わせて判断 |
日本糖尿病学会の診断基準に基づく目安です。妊娠中の診断は別の基準を使います。[2]
数値がこの基準に達していなくても、健診で再検査・受診を勧められた場合は相談してください。貧血などでHbA1cの解釈に注意が必要なこともあります。HbA1cと貧血の関係は別の記事で解説しています。
こんな症状がある方は早めに相談を
糖尿病は無症状のことも多いですが、次のような症状がある場合は、血糖値が高くなっている可能性があります。
- のどがよく渇く
- 水分をたくさん飲む
- 尿の回数が増えた
- 体重が急に減ってきた
- 疲れやすい
- 傷が治りにくい
- 足のしびれがある
- 健診で血糖値やHbA1cを指摘された
- 高血圧や脂質異常症もある
- 家族に糖尿病の方がいる
急いで受診する症状
強い口渇・多尿・急な体重減少があるときは、早めに医療機関へ相談してください。嘔吐が続く、水分が取れない、強い腹痛がある場合は、当日中の受診・相談が必要です。
意識がはっきりしない、呼びかけに反応しない、強い息苦しさがある場合は119番へ。通常の外来予約を待たず、ご自身での運転を避けてください。[4]
循環器内科から見た糖尿病管理の大切さ
糖尿病は内科の病気であると同時に、循環器内科にとっても非常に重要な病気です。
血糖値が高い状態が続くと、血管が傷みやすくなります。 そこに高血圧や脂質異常症が重なると、動脈硬化が進みやすくなり、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、心不全などにつながる可能性があります。
そのため、糖尿病を診るときには、血糖値だけを見ればよいわけではありません。 血圧、コレステロール、中性脂肪、腎機能、尿検査、心電図、体重、生活習慣などを総合的に確認することが大切です。
姫路市で糖尿病や生活習慣病が気になる方は、えぷろんクリニックへご相談ください。 当院では、内科・循環器内科の視点から、糖尿病だけでなく、高血圧、脂質異常症、心不全予防まで含めて診療を行います。
えぷろんクリニックで相談できること
えぷろんクリニックでは、糖尿病が心配な方、健診で血糖値やHbA1cを指摘された方、すでに治療中だが管理に不安がある方のご相談に対応しています。
主に、以下のような内容を確認します。
- 血糖値、HbA1cの確認
- 採血による腎機能、脂質、肝機能などの評価
- 尿蛋白・必要に応じた尿アルブミンなどと、採血による腎機能の確認
- 血圧管理
- 食事、運動、体重管理の相談
- 糖尿病治療薬の調整
- 高血圧、脂質異常症など生活習慣病の管理
- 心電図などによる循環器疾患の確認
- 必要時の専門医療機関への紹介
えぷろんクリニックは、姫路市にある内科・循環器内科のクリニックです。 地域に根ざしたかかりつけ医として、生活習慣病から心不全予防まで、患者さんの状態に合わせて診療を行っています。
初診の流れと、持ってきていただきたいもの
- 1結果と経過を確認
健診結果、症状、食事・運動、治療歴やお薬を確認します。
- 2必要な検査を相談
採血・尿検査などを、体調とこれまでの結果に合わせて考えます。
- 3続けられる管理へ
生活の工夫、薬、通院の見通しを一緒に整理します。
過去の採血結果や、血糖・血圧・体重の記録があればお持ちください。食事を抜いたり薬を止めたりせず、検査前の準備は予約時の案内に従ってください。
詳しい受診方法は初診の方へのご案内をご覧ください。強い症状がある場合は、通常のWEB予約を待たずに相談・救急受診が必要です。
糖尿病は「怖がる病気」ではなく「向き合う病気」
糖尿病の歴史を振り返ると、アリが病気の手がかりになった時代から、インスリンの発見、そして現在のさまざまな治療薬の時代へと、医療は大きく進歩してきました。
しかし、どの時代にも共通しているのは、「早く気づき、きちんと向き合うこと」が重要だという点です。
糖尿病では、継続した管理が合併症の予防につながります。血糖値、血圧、脂質、体重、生活習慣を、無理なく続けられる方法で整えていきましょう。治療の目標や薬は、年齢・体調・合併症に合わせて医師と相談して決めます。
姫路市で糖尿病、生活習慣病、血糖値の異常にお悩みの方、また心臓病の予防まで含めて相談したい方は、えぷろんクリニックまでお気軽にご相談ください。 症状や検査結果を確認しながら、必要に応じて採血、尿検査、心電図などを行い、適切な治療や専門医療機関との連携を検討します。
糖尿病の受診についてよくある質問
症状がなくても、血糖値の異常で受診してよいですか?
はい。糖尿病は自覚症状が乏しいことがあります。健診で再検査や受診を勧められたら、結果を持って相談してください。
HbA1cが6.5%以上なら、必ず糖尿病ですか?
糖尿病型の基準に当たりますが、HbA1cだけで診断を確定することはできません。血糖値や症状、必要な再検査を含めて判断します。
痩せていても、糖尿病になることはありますか?
あります。糖尿病には異なるタイプがあり、インスリンの分泌や働き、体質などが関係します。体型だけで判断せず、検査結果と経過を確認することが大切です。
糖尿病の薬や、腕に付ける測定器の相談もできますか?
糖尿病の薬の種類や、CGM(持続グルコースモニタリング)については、糖尿病の薬・CGMを図解した記事で紹介しています。使用できる機器や保険の条件は、病状に応じて診察時に確認します。
参考資料
- 糖尿病情報センター「糖尿病とは」
- 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024:糖尿病診断の指針」
- 糖尿病情報センター「腎症」
- 日本糖尿病学会「糖尿病合併症について」
- トロント大学図書館:Leonard Thompson/インスリン発見の原資料
- 堺市立中央図書館の調査事例「糖尿病と蟻の関係について」/国立国会図書館レファレンス協同データベース
歴史のエピソードは、当時の記録・記述を紹介するものです。現在の診断は血液検査や診察に基づいて行います。資料確認・本文更新:2026年10月14日。
血糖の数字と、合併症の確認は両方大切です
症状がなく、HbA1cが改善していても、目・腎臓・神経などの確認を続けることが大切です。目の病変は眼科の検査、腎臓は尿と採血、足は皮膚や感覚などを組み合わせて評価します。確認する間隔は、病気の状態に応じて診察で相談してください。
健診結果や過去の採血・尿検査、お薬手帳を持参すると、変化を比較しやすくなります。足の傷や靴ずれ、見え方の変化なども、次の定期検査まで待たずに相談しましょう。