
「心臓には4つの部屋がある」と聞いても、それぞれの役割までは分かりにくいかもしれません。心臓の解剖、つまり体の中での形やつながりを知ると、動悸や息切れ、胸痛といった症状を理解する手がかりになります。まずは血液が通る道を、一緒にたどってみましょう。
- 4つの部屋と4つの弁の役割
- 肺と全身をめぐる血液の流れ
- 冠動脈・電気の通り道と、症状のつながり
心臓はどこにある?大きさと4つの部屋
心臓は、おおよそ自分の握りこぶしほどの大きさです。胸の中央からやや左寄り、左右の肺の間にあり、筋肉でできたポンプとして働きます。[8]
心房は受け取り、心室は送り出す
内部には右心房・右心室・左心房・左心室があります。心房は戻ってきた血液を受け取り、心室は外へ送り出す部屋です。右心室は肺へ、左心室は全身へ血液を送ります。左右の部屋は「中隔」という壁で仕切られ、通常、右側と左側の血液が直接混ざることはありません。[1][2]

全身に血液を送る左心室は、より高い圧力を生み出すため、右心室より筋肉の壁が厚くなっています。心臓の内側は心内膜で覆われ、壁の主体は心筋です。外側には心外膜があり、心臓全体は心膜という袋に包まれています。[8]
心臓の血液の流れ|肺循環と体循環
全身で酸素を渡した血液は、上大静脈・下大静脈から右心房へ戻ります。右心室から肺動脈を通って肺へ進み、酸素を受け取ります。肺静脈で左心房へ戻った血液は、左心室から大動脈を通り、再び全身へ送られます。肺をめぐる道が肺循環、全身をめぐる道が体循環です。[2]

動脈は心臓から出る血管、静脈は心臓へ戻る血管です。そのため肺動脈には酸素の少ない血液、肺静脈には酸素の多い血液が流れます。図の青は区別のための色で、実際の血液はどちらも赤色です。
4つの心臓弁は、逆流を防ぐ扉
弁は血液を一方向へ流す仕組みです。前後の圧力差によって開閉し、血液の逆流を防いでいます。[2]
| 弁の名前 | 位置 |
|---|---|
| 三尖弁 | 右心房と右心室の間 |
| 肺動脈弁 | 右心室と肺動脈の間 |
| 僧帽弁 | 左心房と左心室の間 |
| 大動脈弁 | 左心室と大動脈の間 |
三尖弁と僧帽弁は、腱索という細いひもと乳頭筋に支えられています。これらは心室が収縮したとき、弁が心房側へ裏返るのを防ぎます。弁が開きにくい「狭窄」や、閉じにくく血液が戻る「逆流」が強くなると、心臓への負担が増え、息切れなどにつながることがあります。
冠動脈は、心臓の筋肉を養う血管
心臓の中に血液があっても、それだけで心筋に必要な酸素を届けられるわけではありません。心筋への供給を担うのが冠動脈です。大動脈の根元から右冠動脈と左冠動脈が分かれ、通常、左冠動脈は前下行枝と回旋枝に分岐します。[2][4]

冠動脈の血流が不足すると狭心症、血流不足が続いて心筋の一部が壊死すると心筋梗塞となります。高血圧・糖尿病・脂質異常症の管理や禁煙は、冠動脈を守るうえで大切です。[4]
心臓はどう動く?電気の通り道と不整脈
通常、拍動の合図は右心房にある「洞結節」で生まれます。電気信号が心房へ広がり、房室結節で少しゆっくり伝わったあと、ヒス束・左右の脚・プルキンエ線維を通って心室へ届きます。心房のあとに心室が収縮することで、効率よく血液を送れます。[3][5]

電気の発生や伝わり方が乱れると、不整脈を起こすことがあります。ただし、動悸には貧血や甲状腺の病気なども関わるため、症状だけで原因を決めつけないことが大切です。
胸痛・動悸・息切れは、心臓のどこと関係する?
冠動脈、弁、心筋、電気の仕組みのどこに問題があるかで、必要な検査や治療は変わります。心筋は「縮む」だけでなく「広がって血液を受け取る」働きも重要です。押し出す力が保たれていても、広がりにくさから心不全になる場合があります。[6]
早めに医療機関へ相談したい症状
- 歩くと胸が苦しくなり、休むと治まる
- 動悸や脈の乱れを繰り返す
- 以前より息切れしやすい、両足のむくみが増えた
- 失神した、健診で心雑音や心電図異常を指摘された
今すぐ119番へ連絡する目安
突然の強い胸痛・背中の痛み、冷や汗を伴う胸の圧迫感、急な激しい息苦しさ、意識が戻らない・反応がおかしい場合は、通常の予約を待たず119番へ。自分で運転しないでください。[7]
姫路市で心臓の症状が気になる方へ
えぷろんクリニックでは、診察や血圧測定、必要に応じた採血・心電図・心エコーなどで状態を確認します。心電図は電気の活動、心エコーは心臓の形・動き・弁の状態を調べる検査です。心電図が一度正常でも、すべての心臓病を否定できるわけではありません。
循環器専門医と呼吸器専門医が在籍し、生活習慣病の管理から心不全などの診療、必要時の専門医療機関への紹介、通院が難しい方の訪問診療にも対応しています。
心臓の解剖・検査についてよくある質問
Q. 心臓は体の左側にあるのですか?
A. 心臓は胸の中央からやや左寄りにあり、左右の肺の間に位置します。心臓全体が左胸だけに収まっているわけではありません。
Q. 動脈には酸素の多い血液が流れていますか?
A. 動脈・静脈の名前は、心臓から出るか、戻るかで決まります。正常な成人では、肺動脈には酸素の少ない血液、肺静脈には酸素の多い血液が流れます。
Q. 心電図が正常なら、心臓の病気はありませんか?
A. 一度の心電図だけでは、発作的な不整脈や弁の病気などを否定できません。症状に応じて、長時間の心電図や心エコーなどを組み合わせます。
Q. 心臓がよく動いていても心不全になりますか?
A. はい。押し出す力が保たれていても、心臓が広がりにくく、血液を受け取りにくくなることで心不全になる場合があります。症状や複数の検査で評価します。
Q. 姫路市で動悸や息切れはどこに相談すればよいですか?
A. 内科・循環器内科で相談できます。えぷろんクリニックでも診療しています。突然の強い胸痛や激しい息苦しさ、意識の異常がある場合は119番へ連絡してください。
気になる症状を、そのままにしないために
姫路市で動悸・息切れ・むくみなどにお悩みの方、生活習慣病や心臓の病気が心配な方は、えぷろんクリニックまでお気軽にご相談ください。症状や検査結果を確認しながら、必要に応じて適切な検査や専門医療機関との連携を行います。
心エコー・ホルター心電図の検査予約はお電話でご相談ください。緊急性の高い症状は119番へ。
参考資料
- NHLBI(米国国立心肺血液研究所)|What the Heart Looks Like
- NHLBI|How Blood Flows through the Heart
- NHLBI|How the Heart Beats
- 国立循環器病研究センター|狭心症とは
- 日本心臓財団|不整脈
- NHLBI|What Is Heart Failure?
- 総務省消防庁|救急車を上手に使いましょう(令和7年12月)
- Cleveland Clinic|Heart: Anatomy & Function
参照日:2026年10月4日。図1〜4は参考資料をもとに作成したオリジナルの模式図です。正常な成人の一般的な構造を説明しており、先天的な違いや術後の構造は含みません。