飲酒と尿酸値

お酒の売り場で「プリン体ゼロ」の表示を見ると、尿酸値が高くても安心して飲めそうに感じるかもしれません。「ビールをやめて焼酎にすれば大丈夫」という考え方もあります。

しかし、プリン体が少ないことと、尿酸値に影響しないことは別です。アルコール自体にも尿酸値を上げる働きがあるため、表示だけで判断せず、飲む量にも目を向ける必要があります。[1]

記事責任者:えぷろんクリニック 院長 松尾晃樹(日本循環器学会認定 循環器専門医)
医師紹介・専門資格 / 記事更新日:

プリン体ゼロでも、アルコールの影響は残ります

尿酸は、体内でプリン体が分解されるときにつくられます。プリン体は食べ物だけに含まれるものではなく、私たちの体の中にもある物質です。尿酸がつくられる量と、体の外に出る量のバランスが崩れると、尿酸値が高くなることがあります。[1][2]

アルコールは、体内で尿酸がつくられる過程や排泄に影響します。そのため、お酒に含まれるプリン体だけ減らしても、アルコールの影響までなくなるわけではありません。「ゼロ」という一つの表示では、飲み物全体の健康への影響は判断できないのです。[1]

焼酎やウイスキーなら問題ない、とはいえません

2004年に報告された研究では、痛風の既往がない男性約4万7千人を12年間追跡しました。飲酒量が多いほど痛風の発症が多く、ビールだけでなく蒸留酒にも発症リスクとの関連が認められました。[3]

これは観察研究であり、飲酒だけが原因だと断定するものではありません。それでも、「ビール以外なら痛風を気にせず飲める」と考える根拠にはならないことが分かります。[3]

尿酸値が高いと、何が問題になるのでしょうか

一般に、血清尿酸値が7.0mg/dLを超える状態を高尿酸血症と呼びます。高い状態が続くと、尿酸の結晶が関節にたまり、痛風発作につながる場合があります。ただし、高尿酸血症の方全員が痛風になるわけではありません。[1][4]

足の親指の付け根などが急に赤く腫れ、強く痛むのが典型的ですが、ほかの関節に起こることもあります。高尿酸血症と痛風は同じ意味ではなく、痛みがない時期にも尿酸値の管理を考えることが大切です。[4]

お酒の種類より、まず実際の飲酒量を確認しましょう

「何杯飲むか」だけでは、アルコール量を比べられません。グラスの大きさやお酒の濃さによって、同じ一杯でも違うからです。受診時には、飲み物の名前、度数、1回の量、週に何日飲むかをメモしておくと相談しやすくなります。

量を減らす工夫として、先に飲む量を決める、飲まない日をつくる、アルコールを含まない飲み物に置き換える、といった方法があります。ただし、アルコールを含まない飲み物でも糖分が多い場合があるため、甘い飲み物への置き換え過ぎには注意しましょう。[2]

「この量までなら安全」と一律には決められません

尿酸値、痛風発作の有無、腎臓の働き、ほかの病気や薬によって、必要な対応は変わります。減酒だけでよいのか、禁酒や薬の治療が必要なのかも含めて相談してください。[1][4]

水分補給は大切ですが、心不全や腎臓病などで水分量の指示がある方は、その指示を優先します。「尿酸のために」と自己判断で大量に飲むことは避けましょう。[2][5]

尿酸値が高いときの受診の目安

次のような場合は、内科で相談してください。

  • 健診で尿酸値の高値を繰り返し指摘されている。
  • 足の親指の付け根や足首などに、急な腫れや強い痛みがある。
  • 痛風発作を繰り返す、尿路結石や腎機能の異常を指摘されている。

特に、赤く腫れた関節に発熱を伴う場合は、痛風と決めつけず、当日中を目安に早めに医療機関へ相談してください。関節の感染症など、急いで治療する病気との区別が必要になることがあります。[4][7]

痛みが治まったから、尿酸値も正常に戻ったとは限りません。すでに処方されている薬についても、自己判断で中止せず、治療の目的と続け方を確認しましょう。[4]

姫路市で尿酸値や生活習慣病を相談したい方へ

えぷろんクリニックでは、健診結果、症状、飲酒習慣、薬の内容を確認し、必要な採血や生活習慣病の管理を行います。尿酸値だけでなく、血圧、血糖、脂質、腎臓の状態なども踏まえて相談します。[6]

よくある質問

プリン体ゼロのお酒なら尿酸値は上がりませんか?

アルコール自体が尿酸値に影響するため、上がらないとはいえません。プリン体の表示だけでなく、飲酒量も見直しましょう。[1]

焼酎やウイスキーに変えれば痛風を防げますか?

予防を保証できません。蒸留酒にも痛風発症との関連が報告されており、種類を替えるだけでなく量の調整が重要です。[2][3]

尿酸値が7.0mg/dLを超えたら、すぐ薬が必要ですか?

全員がすぐ薬を始めるわけではありません。尿酸値の推移、痛風発作、腎臓の状態などから判断します。[1][4]

足の親指が腫れたら、痛風ですか?

痛風の可能性はありますが、感染症など別の病気もあります。特に発熱を伴う赤い腫れや強い痛みは早めに受診してください。[4][7]

姫路市で尿酸値だけ高い場合も内科に相談できますか?

症状がなくても相談できます。えぷろんクリニックでは、健診結果を確認し、必要な検査や生活習慣の相談を行います。[6]

参考文献・参考情報

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールと高尿酸血症・痛風」
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット「高尿酸血症」
  3. Choi HK, et al. Alcohol intake and risk of incident gout in men: a prospective study. Lancet. 2004;363:1277–1281. doi:10.1016/S0140-6736(04)16000-5.
  4. 米国NIAMS「Gout」
  5. 米国NHLBI「Heart Failure: Living With Heart Failure」水分量を個別に調整する場合があることを参照。
  6. えぷろんクリニック「生活習慣病の診療」
  7. 英国NHS「Gout」急性の関節腫脹に発熱等を伴う場合の緊急評価について。

表示と、実際のアルコール量を分けて見ましょう

飲み物を選ぶときの確認点
確認すること分かることそれだけでは分からないこと
プリン体の表示飲み物に含まれるプリン体の量アルコールによる尿酸への影響や、飲酒全体の安全性
量と度数純アルコール量の目安全員に安全な上限や、痛風を必ず防げる量
尿酸値・発作・腎機能医師が治療を考えるための情報一回の尿酸値だけで決まる診断・薬の必要性

純アルコール量の目安は「飲んだ量(mL)×度数(%)÷100×0.8」です。同じ350mLでも、度数5%なら約14g、9%なら約25gになります。この計算は量を把握するためのもので、安全量を保証するものではありません。

参考:厚生労働省・健康に配慮した飲酒に関するガイドライン