心エコー図検査ってどんな検査?
― 心臓を“見る”いちばん身近な検査 ―
「健診で心臓に雑音があると言われた」
「心エコーの検査を受けましょう、と言われたけれど、どんな検査だろう?」
「痛くないの? 時間はどのくらいかかるの?」
――これまでの第1回から第5回まで、いろいろな弁膜症のお話の中で、何度も登場してきた「心エコー図検査」。今回は、その検査そのものに焦点を当てて、やさしくお話しします。
01心エコー図検査って、どんな検査?
心エコー図検査(しんエコーずけんさ) は、別名 心臓超音波検査 ともいい、超音波(人の耳には聞こえない高い音) を使って、心臓の様子をリアルタイムに映し出す検査です。
妊婦さんが赤ちゃんの様子を見るときの「エコー検査」を聞いたことがある方も多いと思います。あれと同じ仕組みで、おなかの赤ちゃんの代わりに、心臓を映して見るわけです。
胸に当てた機器(プローブ)から超音波を出し、心臓の壁や弁にぶつかって跳ね返ってきた音を画像に変換します。これによって、動いている心臓の様子を、そのまま画面で見ることができるのです。
レントゲンやCTと違い、心エコー図検査は 放射線をまったく使いません。体に害のない超音波を使うので、くり返し受けても安心な検査です。
02心エコー図検査で、何がわかるの?
心エコー図検査では、動いている心臓を見ながら、実にたくさんのことがわかります。これまでの第1回から第5回までで「心エコー図検査で評価します」とくり返しお伝えしてきましたが、まさにこの検査が、心臓の状態を知るための中心的な役割を果たしています。
- 弁の動き:4つの弁(大動脈弁・僧帽弁・三尖弁・肺動脈弁)が、きちんと開いて閉じているか。狭くなっていないか、逆流していないか。
- 心臓の動き・ポンプの力:心臓の筋肉がしっかり収縮しているか。心不全の有無や程度。
- 血液の流れ:カラードップラーという技術で、血液の流れる向きや速さを色で表示し、逆流や狭窄を確認します。
- 心臓の部屋の大きさ・壁の厚さ:心臓の各部屋が広がっていないか、壁が厚くなっていないか。
- 心臓のまわりの状態:心臓を包む膜に水がたまっていないか、など。
つまり心エコー図検査は、心臓の「形」と「動き」と「血液の流れ」を、一度にまとめて確認できる、とても情報量の多い検査なのです。しかも体への負担がほとんどありません。
03実際どうやるの? ― 痛くない? 時間は?
患者さんから特によくいただく質問が、「痛くないですか?」「どのくらい時間がかかりますか?」というものです。順番に、検査の流れに沿ってお答えします。
検査の流れ
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ベッドに横になります
上半身の服を脱いで、検査着に着替えます。ベッドに、やや左を下にして横になります(心臓が見やすくなる向きです)。
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胸にゼリーを塗ります
プローブのすべりを良くし、超音波がよく伝わるように、胸にゼリーを塗ります。少しひんやりしますが、痛みはありません。
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プローブを当てて観察します
検査技師や医師が、胸のいろいろな位置にプローブを当てて、心臓を様々な角度から観察します。ときどき「少し息を止めてください」「左を向いてください」とお願いすることがあります。
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終了、ゼリーを拭き取ります
検査が終わったらゼリーを拭き取って、着替えて終了です。
よくあるご質問
痛みはありません
プローブを胸に当てるだけです。注射や針もなく、ほとんどの方が「思ったよりらくだった」とおっしゃいます。プローブを少し押し当てるときに、軽い圧迫感を感じる程度です。
およそ20〜30分
検査の内容にもよりますが、おおむね20〜30分ほどです。じっくり観察が必要な場合は、もう少しかかることもあります。
心エコー図では不要です
心臓を見るエコー(心エコー図検査)の場合、食事制限(絶食)は不要です。いつも通りお食事をして来ていただいて大丈夫です。
いつも通りで大丈夫
ふだん飲んでいるお薬は、いつも通り服用していただいて構いません。気になる場合は事前にご相談ください。
「エコー検査の前は食事を抜く」と思っている方が多いのですが、それは おなかの検査(腹部エコー) の場合です。腹部エコーでは胃や腸のガスや胆のうの収縮が観察の邪魔になるため絶食が必要ですが、心臓を見る心エコー図検査では絶食は不要です。検査の種類によって準備が違うので、混同しないようご注意ください。
04受けるときの服装や準備は?
特別な準備はほとんど必要ありませんが、当日スムーズに受けていただくために、知っておくと便利なことをまとめます。
| 服装 | 上半身を出して検査するので、脱ぎ着しやすい服装がおすすめです。検査着をお貸しするので、心配はいりません。 |
|---|---|
| 食事 | 制限なし。いつも通りで大丈夫です(心エコー図検査の場合)。 |
| お薬 | いつも通り服用して構いません。 |
| 持ち物 | 健診の結果や、ほかの病院での検査結果があれば、お持ちいただくと参考になります。 |
| 所要時間 | 検査自体は20〜30分ほど。受付や着替えを含めて、余裕をもってお越しください。 |
こんな方も安心して受けられます
心エコー図検査は体に負担が少ないため、幅広い方が受けられます。
● 妊娠中の方:放射線を使わないので、妊娠中でも安心して受けられます。
● ペースメーカーが入っている方:問題なく受けられます。
● くり返し受ける必要がある方:体への害がないので、経過観察で何度受けても心配ありません。
05健診で「心雑音」を指摘されたら
健康診断で 「心雑音があります」「心エコー図検査を受けてください」 と言われて、不安になって来院される方は少なくありません。
心雑音 = 病気、とは限りません
まず知っておいていただきたいのは、心雑音があるからといって、必ずしも病気とは限らないということです。健康な方でも、血液が心臓を流れる音が雑音として聞こえることがあり、これは 「無害性雑音」 と呼ばれ、治療の必要はありません。
一方で、これまでの第1回から第5回でお話ししてきたような 弁膜症 が隠れていて、それが雑音として現れていることもあります。聴診だけでは、その雑音が無害なものか、病気によるものかを完全に見分けることは難しいのです。
だからこそ、心エコー図検査
そこで活躍するのが、心エコー図検査です。雑音の原因が弁膜症なのか、無害なものなのかを、実際に心臓を見て確かめることができるのです。
もし弁膜症が見つかっても、すぐに治療が必要とは限りません。多くの場合は、定期的に心エコー図検査でフォローしながら、必要なタイミングを見極めていきます。大切なのは、まず原因をはっきりさせて、適切に経過を見ていくことです。
健診で心雑音を指摘されたら、過度に心配する必要はありませんが、放置せず、一度きちんと調べておくことが安心につながります。心エコー図検査は、その第一歩としてうってつけの検査です。
06最後に ― 心臓の状態を知る、身近な一歩
心エコー図検査は、痛みがなく、放射線も使わず、特別な準備もいらない、とても受けやすい検査です。それでいて、心臓の形・動き・血液の流れまで、たくさんのことがわかります。
息切れ・動悸・むくみといった気になる症状があるとき、健診で心雑音を指摘されたとき、あるいはこれまでの弁膜症シリーズを読んで「自分も一度調べてみようかな」と思われたとき――心エコー図検査は、その確かな第一歩になります。
当院(兵庫県姫路市・えぷろんクリニック)では、循環器内科の専門医のもとで、心エコー図検査を受けていただけます。健診結果のご相談や、気になる症状について、どうぞお気軽にご相談ください。
このシリーズでくり返しお伝えしてきたように、心臓の病気は「早く見つけて、適切に経過を見る」ことが何より大切です。心エコー図検査は、そのための、いちばん身近で頼れる味方です。
えぷろんクリニックのご案内
当院について
えぷろんクリニックは、姫路市飾磨区にある循環器内科・呼吸器内科・内科のクリニックです。これまで地域に親しまれてきた「田中クリニック」の理念を引き継ぎ、2025年12月より新たな名前で診療を続けています。
- 循環器専門医と呼吸器専門医の両方が在籍し、息切れや動悸の原因を総合的に診断します
- 院内に心エコー図・心電図・血液検査・呼吸機能検査などを備え、必要な初期検査を当日に行えます
- 兵庫県立はりま姫路総合医療センター・姫路医療センターなどと連携し、入院・手術が必要な場合もスムーズにご紹介します
- 院長は兵庫県立はりま姫路総合医療センターでも診療を行っており、心不全外来・地域連携にも携わっています
- 在宅酸素・人工呼吸器対応や終末期ケアを通じて、ご自宅での療養も支えています
診療理念
「心に寄り添い、信頼される医療の提供」
医学的根拠に基づいた正確な医療を提供しつつ、患者さまとの信頼関係を大切にした診療を行っています。患者さまと丁寧に向き合い、納得いただける治療方針を共に考え、地域の皆さまにとって 「いつでも相談できる、安心できる存在」 となれるよう努めています。